盛岡タイムス Web News 2014年  7月  8日 (火)

       

■  〈おらがまちかど〉21 菊地由加奈 雫石町 中島自治会内 住民詰まる虫追い行事 約30年前に復活 鍾馗大臣悪魔祓之祭事


     
  苗に虫がつかないよう祈願し、農道を練り歩く  
 
苗に虫がつかないよう祈願し、農道を練り歩く
 

 雫石町御明神の中島集落には、苦労して植えた苗に害虫がつかないよう祈願する「鍾馗(しょうき)大臣悪魔祓之祭事」が伝わっている。昭和30年代前半に一度途絶えたというが、約30年前に復活。以来、梅雨時の行事となっている。今年は6月29日に開かれ、中島公民館で神事を執り行った後、午後4時半に公民館を出発した。

  タン、タタ、タン、タタ、タン、タタ、タン―。子どもたちがたたく太鼓がわが家に近づくと、住民は用意した供え物を木の札に掛け、合掌。「疫病退散」や「家内安全」、「交通安全」など筆でしたためた祈願旗を手にし、自らも行列に加わった。

  最初は40人ほどの列だったが、終わるころにはおよそ90人に。列は100b近くまで伸びていた。上流から下流へと約60世帯の家々を1時間かけて練り歩く。一番下流の家に到着すると、虫を払った旗を回収し、地元の竜川で灰にした。

  初めて列を先導した横澤祐太朗さん(29)は「いい達成感がある。地域の神様を敬うという意味で続けたいと思う」、太鼓の田沼虎亜君(御明神小6年)は「地域の特徴を生かしたお祭り。このお祭りがあるから、いろんなことが起きないようになっている」と語った。

  今年は新しい試みに挑戦。「住民が一番集まる」という祭りの特徴を生かし、自主防災の訓練を加えた。「ガス釜が町内に1個しかない」。東日本大震災津波で判明し、新たに公民館の備品としてガス釜を購入。祭り準備の傍ら、おにぎりの炊き出しを90人分、訓練した。

  公民館長の天瀬一さん(61)は「昨年の豪雨の反省がある。役員が被災し、動けなかった。何かあった時に役員だけでなく、周りから積極的に声が上がるような雰囲気にしていきたい」、中島自治会長の中村一民さん(66)は「災害を頭にインプットしてほしい」と呼び掛ける。「集まりでコミュニケーションを積み、住民間のネットワークを密なものにしたい」。伝統行事のもう一つの大切な役目を告げた。
(菊地由加奈)


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