盛岡タイムス Web News 2014年  7月  9日 (水)

       

■  〈ジジからの絵手紙〉66 菅森幸一 「ごはんダヨ」


     
   
     

 現在ではめったにお目にかからない情景のひとつが、遊びに夢中になっている子どもたちに向かって「ごはんダヨ」と呼び掛ける母親の姿だ。ジジたちの子どもの頃は、外で群れをなして遊ぶのが普通で、雨でも降らない限りは近所の空き地などで思う存分エネルギーを発散していたんだ。

  夕食の準備ができた家からそれぞれの子どもたちに招集の声が掛かり大抵は母親が呼びにきたものだ。食糧難のこの時代だから満足なオヤツにもありつけず暴れ回っていたのだから「ごはんダヨ」の一声は天の助けみたいなものだ。近所の家々から、行商の魚屋さんから申し合わせたように買った「かど(ニシン)」を焼くにおいが漂って来たりしたもんでは遊びどころではない。

  「アバエ」の一言が遊びの輪から外れる合図だ。それに対して「さよなら三角、また来て四角…」で始まるお別れの大合唱が当たり前のように背後から追い掛けて来る。「ごはん」とは言うものの、お米よりも混ざっているダイコンの分量の方が多いくらいの「かでめし(お米に雑穀や野菜を入れ量を増やしたもの)」だったけど、この母さんの「ごはんダヨ」の一言で、何よりも滋養豊富なごちそうに感じられたものだよ。


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