盛岡タイムス Web News 2014年  7月  19日 (土)

       

■ 〈街医者の公開クリニック〉9 鎌田潤也 不整脈

 

 ご質問 半年ほど前に「洞機能不全症候群」の診断で、「永久ペースメーカー植え込み術」を受けました。磁力や電磁波に注意すべきであると指導されましたが、日常生活での実際的な留意点についてはよく理解できていません。お教えください(65歳、男性)。

  お返事 「ペースメーカー」は、英語で「歩調とり」を意味します。「洞機能不全症候群」や「房室ブロック」などの徐脈性不整脈で脈が遅くなり過ぎたときに、めまいや失神などの脳の虚血症状が起こるのを防ぐ目的で、「循環器専門医」の判断で植え込み術が適応されることがあります。

  心臓の電気信号の異常を感知して電気刺激を出す「ジェネレーター」と呼ばれる本体が、左右どちらかの鎖骨の下の皮膚につくられた「ポケット」に植え込まれているはずです。まずは、それによる違和感や苦痛がないことが前提です。

  さて、ペースメーカーは強い磁力や電磁波に影響されると、誤作動を起こしたり、あらかじめ設定された心拍数などの条件が変化したりする危険があります。ですからペースメーカーを植え込まれている患者さんには、「循環器専門医」が責任を持って、表に示すようないくつかの留意点を詳細に説明し、チェックしていく必要があるのです。

  電磁波が飛び交っている意外な場所として、エンジンをかけたままの自動車のボンネット内があります。自動車の整備などは迷わず他の人にお願いするのが得策です。また、高圧電線や強い発電装置、放送送信用アンテナ、店の盗難防止装置、空港の金属探知機ゲートなどにも、可能な限り近づかないようにしてください。

  医療機関では、MRIやMRAなどの核磁気共鳴装置、体液組成測定装置などの検査機器、あるいは低周波治療器などの治療機器においても、ペースメーカーに影響を与える可能性のあるものがあります。近年、ペースメーカーの小型軽量化が進み、「循環器専門医でない医師」では、植え込まれていることが外見で判断できないこともあります。主治医以外の医療機関を受診する場合には、必ず前もって申告しておくことが肝要です。家庭用の治療機器でも、体に何らかの電極を貼って使用するものには注意が必要です。

  家庭で使う電化製品について、患者さんからよく問い合わせがありますが、実は心配のないものがほとんどです。電子レンジや電磁調理器など、普通に使用するぶんにはあまり問題にはなりません。ただ、ジェネレーターのあるポケットを、わざわざそれらの機器に近づけることは避けていただきたいと指導しています。ノート型パソコンなどを、ジェネレーターのあるポケット側の脇に抱えたりするのも避けていただくようお願いしています。

  次に携帯電話です。定評のある実験結果から、ジェネレーターのあるポケットから22a以上離して使用すれば問題はないという指導をしています。従って、患者さんの多くは左側にポケットがありますから、右側の耳で通話することをお勧めしているのです。

  ところで、いまだに一般社会のマナーは優良とはいえない現状です。乗り物の中や人混みの中でも携帯電話のスイッチを切らずにいる方々が多数おられるのではないかと思われます。残念なことですが、患者さんにはそのことを意識して生活し、自らを防御することに努めていただきたいと思っています。

  もちろん、何らかの症状があったり、ペースメーカーの不具合を示唆する出来事があった場合には、速やかに主治医に連絡を取るべきであることは言うまでもありません。

  さて、その他の詳しい最新の情報については、「日本心臓ペースメーカー友の会」などの患者会からも得ることができます。会の概要については、ホームページなどでお問い合わせいただければ幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。

(おおどおり鎌田内科クリニック院長) 


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