盛岡タイムス Web News 2014年  7月  20日 (日)

       

■ 可能性調査を開始 つなぎ温泉 小規模温泉発電の導入 未利用資源の活用期待 源泉管理会社と盛岡市

     
  温泉発電の導入を目指し盛岡市繋地区で調査がスタート。湧出する温泉のサンプルを採取する地熱エンジニアリングの技術者=18日  
  温泉発電の導入を目指し盛岡市繋地区で調査がスタート。湧出する温泉のサンプルを採取する地熱エンジニアリングの技術者=18日
 

 盛岡市繋のつなぎ源泉管理(佐藤匡子社長)と同市は、つなぎ温泉に、温泉の湯を使って電気を起こす「地熱バイナリー発電」(温泉発電)の導入が可能かを探る調査を開始した。同社が管理する二つの源泉のうち、一つは冬季間の融雪設備への供給以外は使っておらず、これを活用した10`h級の小規模温泉発電の導入を目指す。温泉発電が実現すれば、再生可能エネルギーの活用モデルとして付属施設を整備し、地域振興につなげることも可能で、関係者は期待を寄せている。

  地熱バイナリー発電は、70〜150度程度の湯の熱で、沸点の低いペンタンやアンモニアなどの物質を気化させ、タービンを回して発電する仕組み。源泉から噴出する熱水の成分や流量を変えることなく発電できるため、湯は発電に使ったあとも入浴用やハウス栽培の熱源などとして二次利用できる。

  東北経済産業局によると、東北地方では福島市土湯温泉町のバイナリー発電施設(出力400`h級)が来夏の稼働を目指して整備中で、発電した電力は固定価格買取制度(FIT)で東北電力への売電が決まった。大掛かりな施設だけでなく、地域の源泉を使った10`h以上の小規模発電も、地熱エネルギー活用の普及を推進する国の助成制度があり、全国的に注目を集めている。

  つなぎ温泉源泉管理は「至光の湯」、「新瑞光の湯」の二つの源泉を有し、くみ上げた湯を同温泉地区のホテルや道路融雪設備など32施設(未利用施設を含む)に配湯している。このうち新瑞光の湯は、泉温が80度以上あり、毎分587gの湧出を記録しているが、冬季間の融雪設備への供給を除いては未利用。これを活用した温泉発電の可能性を探ることにした。

  構想では、温泉発電で生み出した電力を電力会社に売電(今年度の地熱発電の調達価格は1万5000`h未満の場合、1`h当たり40円)。災害時は非常電源に切り替えて活用する。発電タービンを稼働させたあとの湯は、通常の温泉をはじめ、融雪施設や温室栽培の熱源として利用できるよう付属施設の整備を進め、再生可能エネルギーを生かした地域として発信していく考えだ。

  始まった調査は、つなぎ温泉全体の資源量や、発電施設を導入した場合に源泉へ与える影響などを見極めるもので、地質調査や電磁探査、既存源泉の泉質の分析などを実施する。調査費を全額交付する石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の助成事業に応募し先月、採択された。調査は秋ごろまでの予定で18日は、委託を受けた地熱エンジニアリング(滝沢市)の技術者らが繋地区の源泉を回ってサンプルを採取した。

  調査で、10`h以上の温泉発電設備の導入が可能と判断されれば、温泉熱利用のハウス栽培施設などの整備費を経済産業省が100%補助する「地熱開発理解促進関連事業支援補助金」への申請にも道が開ける。数千万円と見積もられる発電機そのものの購入設備費などクリアしなければならない課題は多いが、「盛岡の奥座敷」と呼ばれる温泉観光地を再び活気づける好材料となる。

  つなぎ温泉地区は昨年8月の集中豪雨で大きな被害を受けた。観光客の獲得も苦戦を強いられている。つなぎ源泉管理の佐藤社長は「温泉は源泉が枯渇しないよう保護するだけでは守れず、地域全体の振興が温泉保護にもつながると改めて気付かされた。災害への備えも強化し、多くの人を呼べるような地域にしていきたい」と話す。

  盛岡市商工観光部の沼田秀彦次長は「つなぎ温泉は市内唯一の温泉観光拠点。温泉発電を起爆剤として、他の温泉地と差別化を図れるような地域振興の可能性を検討していきたい」と期待を寄せる。


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