盛岡タイムス Web News 2014年  7月  22日 (火)

       

■  〈イタリアンチロルの昼下がり〉205 及川彩子 カフェ・ペドロッキ


     
   
     

 北イタリアを訪れたらぜひ立ち寄ってほしいお薦めのカフェの一番は、何と言っても「カフェ・ペドロッキ」。ヴェネチア近郊の大学の町パドヴァの旧市街にある18世紀末創業の歴史ある喫茶店です。

  当時の姿を残す外観は、建築家ペドロッキによる、ギリシャ風の荘厳な入り口。1階は、イタリア国旗色の「赤の間」[写真]・「白の間」・「緑の間」に区切られたサロン、2階は、イタリア統一時の歴史博物館に改装された人気スポットでもあります。

  気軽に立ち寄れるカフェで、ミント味のコーヒーや、コーヒーを練り込んだパスタに、ヴェネチア直産の魚介を盛り合わせるなど、ここならではのメニューも多く、市民に愛されています。

  また、このカフェは、歴史的建築だけでなく、19世紀のフランスの文豪スタンダールのお気に入り、「イタリアで最も魅力的なカフェ」と言わしめたことです。そして、文化人たちの交流の場でもあったのです。

  スタンダールは、フランス生まれですが、母方の親戚がイタリア人であることから、イタリア在住軍人を志願。ナポレオン没落後は、祖国に戻り、不朽の名作「赤と黒」を発表。その後、市民による7月革命を機に、イタリアで自由主義者たちと交流した思想が注目を浴び、再びイタリアへ。晩年には、イタリア人青年のナポレオン時代の不運を描いた名著「パルムの僧院」が発表されました。

  ペドロッキでは、そんな文豪が大絶賛したので名付けたという「ザバイオーネ・スタンダール」というドルチェがお薦め。卵黄、地元のワイン、オレンジの花のエッセンスにシチリア産リキュールを湯煎で泡立てた、トロリと濃厚で甘いドルチェをビスケットに付けていただきます。

  フランス菓子風味とイタリアの太陽の恵みが調和したドルチェによって、カフェの歴史も味も受け継がれているのです。
 


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