盛岡タイムス Web News 2014年  8月  2日 (土)

       

■ 〈体感思観〉 編集局 佐々木貴大 熱の生まれた瞬間

 

 第96回全国高校野球選手権岩手大会は7月24日の決勝をもって、13日間(休養日含む)の日程が終了した。高校野球の取材を担当し、5回目の夏。今年も熱に浮かされたように取材に打ち込んだ。

  高校野球取材の基本は公平であること。しかし、大会前から着目していたり、試合で大々的な活躍をしたりした選手については、「書きたい」「もっと見たい」という情熱が生まれる。

  今大会、最も熱を込めたのは盛岡農。熱が生まれたのは1回戦の後、熊谷健太郎主将に取材した時だった。

  「この勝利を誰に伝えたい」と聞いたところ、これまで笑顔だった熊谷主将が大粒の涙を流し、「支えてくれた両親に」と絞り出した。主将ながら大会直前にスタメンを外れ、それでもチームを盛り上げ続けた彼の苦労がうかがえた。このとき、「彼は一番いいタイミングで書く」と決めた。

  その後は日程の許す限り、同校の試合を球場で取材した。盛岡農は4回戦の久慈工戦で敗れ、快進撃は8強目前で止まった。

  試合後、熊谷主将は泣かずに全ての質問に答えた。大会を通じ、人間として成長したと感じた。その日の原稿は難産だったが、何とか納得のいくものに仕上がった。

  高校野球を含む学生スポーツの取材は、プロスポーツの取材とは違った魅力がある。後のないトーナメント戦がほとんどであるとともに、大会が選手を大きくする場面に遭遇できるからだ。

  大会は盛岡大附の優勝で終わり、2年ぶり8回目となる夏の甲子園出場を決めた。盛岡大附には、大会に参加し涙をのんだ72校70チームの分まで甲子園で活躍することを期待したい。



本ページ掲載内容の無断転載を禁じます
ホームページに関するお問い合わせ、取材に関する情報は
E-Mail:hensyuu@morioka-times.com
盛岡タイムス宛てにお願いします