盛岡タイムス Web News 2014年  8月  9日 (土)

       

■ 8・9豪雨から1年 上 進まない復旧 営農再開できず 二次被害へ住民の懸念 地域結束、災害に立ち向かう


 

     
   昨年8月9日の雫石川氾濫で水田が冠水した御明神小赤沢地区。復旧の進まない護岸(写真奥)のそばで作付けが再開されている(7日撮影)  
   昨年8月9日の雫石川氾濫で水田が冠水した御明神小赤沢地区。復旧の進まない護岸(写真奥)のそばで作付けが再開されている(7日撮影)
 

 盛岡市や雫石町、紫波郡を襲った記録的豪雨から9日で丸1年を迎えた。住宅や農地、土木施設の甚大な被害に対して復旧が進まない地域もある。二次被害も懸念され、大雨や台風の予報が出るたびに住民や農家の不安は絶えない。観光地では風評被害があり、豪雨の残した爪痕は計り知れないが、地域で結束を強め、災害に立ち向かう姿もある。(大崎真士)

 ■来春の営農も不安

  「いら立ち半分、諦め半分だな」。雫石町御明神小赤沢の農家小志戸前久さん(80)は大量の石や土砂が流入した田んぼ脇で草刈りに精を出していた。

  水田2・7f中2・4fが隣接する雫石川氾濫の被害を受け、復旧できたのは0・2fのみ。川の復旧を優先させないと再び被害に遭う危険性があるため復旧できない。県の盛岡広域振興局土木部によると、川の復旧は9月に発注予定だ。

  町内の水田約3180fのうち、国庫補助を活用した復旧で今年作付けできなかったのは23・9f。特に雫石川流域の小赤沢と矢櫃川流域の栃ケ沢は被害が大きく農地の復旧が先延ばしされている。矢櫃川の工期は年度内で来年の作付けに間に合う模様。

  小志戸前さんは「昨年9月の台風18号でも決壊した。昨年は共済金が出たが、今年は10e1万円の減反補助金だけ。昨年の話では今年春の作付けに間に合わせると言っていた」と途方に暮れる。同部は河川復旧に応じて来春は部分的にでも作付けが再開できるよう調整する考え。

  ■再び氾濫の懸念

  盛岡市猪去では猪去大沢、舘沢、さるこ沢が氾濫し、住宅や農地が被害を受けた。

  佐々木一弥猪去自治会長は「改修は今年11月着工で2016年までかかると言う。上流部は昨年のまま荒れ放題で流木などが引っかかれば再び一気にあふれる可能性がある」と一刻も早い対応を望む。

  手をこまねいているだけでなく、地区で重機の所有者に増水時の作業出動を要請し、災害に備えている。

  「田畑の復旧は地区全体で8割。春には入札不調があって、今年間に合わなかった場所もある。リンゴ畑はなんとか復旧した。ゴルフ場下の農地は土砂が大量で昨年大豆をまいたが収量が少なく耕作放棄状態の農家も1、2人いる。国庫補助の復旧は個人の1割負担が大きい」と、営農再開の難しさを語る。

  ■地域結束強まった

  盛岡市の奥座敷、つなぎ温泉。高橋金兵衛つなぎ地区振興福祉推進協議会長は「ハード面は順調に進んでいる。災害復旧以上の治山事業も取り組まれているが、お客が戻ってこない。少し雨が降ると敬遠される」と風評被害を指摘する。

  それでも、つなぎ温泉観光協会宣伝部会長の林晶子四季亭専務は豪雨以降「結束が強まった」と話す。昨年は各施設の若手料理人によるコンクール、7月からは共通メニューの導入を展開。海外からのインバウンド誘客に向け、モニターとして協力してもらうため、10日に岩手大の留学生も参加して初の打ち合わせ会が開かれる。

  林専務は「大雨の影響だけでなく世の中の構造が変化して今年になって入れ込みが減っている。いろいろやっていく必要がある」と気合を入れる。
 


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