盛岡タイムス Web News 2014年  8月  10日 (日)

       

■  〈8・9豪雨から1年〉(中) 残骸残る町道、今も不通状態 水害独自の避難場所を 繰り返す浸水に募る心配


     
   紫波町の山王海2号線に残る豪雨災害の爪痕。仮設道路は設置されたが、いまだに通行止めとなっている(4日撮影)  
   紫波町の山王海2号線に残る豪雨災害の爪痕。仮設道路は設置されたが、いまだに通行止めとなっている(4日撮影)
 
  昨年8月9日に県央部を襲った豪雨災害は、紫波郡にも多大な被害を与えた。水稲耕作にかかせない農業用水設備の機能を停止させ、中心部では多くの住宅で床下、床上浸水が発生した。1年がたち、大部分で復旧を終えたが、多方面に被害が及んだために着手が遅れている箇所も多い。記録的な豪雨で大規模な浸水被害を受けた紫波、矢巾の両町。いまだに消えない大きな爪痕を残した一方で、住民自身が災害対応を見つめ直す機会にもなった。


  ■土木復旧が本格化

  紫波町の最大の懸案は、山王海土地改良区の農業用水設備の稲荷頭首工、南幹線用水路などの機能復旧だった。今年度の作付け前に工事は完了したが、農業関係を優先させたことで土木関係の復旧は遅れており、今年度から工事が本格化する。沢の氾濫で大きく崩れた同町升沢地内を通る町道山王海2号は、仮設道路は造られたが、まだ一般通行はできない状態が続いている。周囲には、上流から流れてきたとみられる直径1bほどの巨大な岩や土砂など、災害の残骸が残る。

  今後、復旧が本格化する場所はほかに上松本高屋敷地内の町道上松本境1号、ほか道路や河川関連など多数。山王海2号は来年6月、上松本境1号は同9月に完成予定。

  床上浸水に見舞われた同町桜町下川原地内から日詰東裏地内にかけては、2002年の台風などで度重なる被害を受けている。町内を流れる大坪川、北上川の合流点付近のポンプ設備は稼働したが、想定を超える水量に対応し切れなかった。

  床上浸水を受けた下川原の熊谷利昭さんは「02年の台風を受けて町内会で防災訓練を始めたが、あの水量ではどうしようもない。ポンプ機能が改善されなければ、再び浸水被害を受けてしまう」と心配を募らせる。

  ■岩崎川は緊急事業

  矢巾町では一級河川岩崎川の氾濫により、流域の住家の多くが床上、床下浸水となるなど、大きな衝撃を与えた。ほかにも橋の崩落、道路のり面の崩壊などがあったが、国庫負担を受ける22カ所のうち、19カ所は復旧を完了している。残るは岩崎川橋、山王茶屋前橋、町道南昌山線の3カ所。

  岩崎川関係は県主体で、床上浸水対策特別緊急事業を実施する。昨年と同規模の豪雨時に、安全に流下する河川規模に拡張される。対象は同町上矢次地内の県道不動盛岡線から芋沢川合流点までの2・64`。川幅を約2倍、断面積が約7倍拡張される。工事が完了すれば、昨年8月と同程度の豪雨での床上浸水は防げる。

  発災時は住家のほか、道路にも大量の濁水が流入した。同町又兵エ新田周辺の県道が冠水し、避難所に指定されている公民館に移動できない住民もいた。同町に限らず、災害に応じた避難場所や移動手段など、改めて検討する必要がありそうだ。

  矢巾町矢巾2区の中坪祐二行政区長は「あれ以上の豪雨がこないとも限らない。今回のように道路が分断されたときのため、地震や火災などと分けた、水害独自の避難場所を確保する必要がある」と今後の災害に備える心構えを語った。
(山下浩平) 


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