盛岡タイムス Web News 2014年  8月  15日 (金)

       

■ ブームに浮上「連合艦隊」 「艦これ」楽しむ若い世代 戦史へ関心 ゲームやキャラクターで

 

 

     
  連合艦隊のシリーズと並べて、「艦これ」のプラモを置いた模型店(盛岡市内で)  
  連合艦隊のシリーズと並べて、「艦これ」のプラモを置いた模型店(盛岡市内で)
 

 若者の間に、「艦隊これくしょん」が、流行している。「艦これ」と略し、ゲーム、小説、漫画、プラモデル、携帯グッズなどにあしらわれた「連合艦隊」が、ブームに浮上している。盛岡市内の店頭でも好調な売れ行きで、戦争を知らない世代の、さらにその子どもたちが、サブカルチャーを通して、太平洋の戦史を知りたがっている。(鎌田大介)

  軍事的な知識が乏しい場合、「艦これ」の理解は難しい。まず現実にあった日本海軍の戦力把握が前提となる。太平洋戦争で日本は戦艦12隻、航空母艦25隻、巡洋艦40隻をはじめ、駆逐艦や潜水艦など多数をもって米英の海軍と戦った。

  「艦これ」は、これらの軍艦を女子高生のセーラー服姿にキャラクター化し、高校の部活になぞらえた仮想の海戦でゲームする。

  真珠湾攻撃の旗艦の空母「赤城」なら、弓道部の主将というように、各艦は主砲や魚雷など兵器をまとった「艦娘(かんむす)」として、それぞれアニメ的に造形される。ユーザーは実際の戦史を参考に理想の陣容を練り上げ、米英ではなく、エイリアン的な軍隊と戦う。

  ゲームをもとに角川書店の小説やタミヤ模型などのプラモが売り出され、関連商品はコンビニの店頭まで市場を作っている。現実の戦争を知る世代から、「悲惨な記憶で遊ぶのか」「好戦的では」といった違和感はありうるが、「艦これ」を通して、若者たちが太平洋戦争に知識と関心を深めているのも事実だ。「風立ちぬ」「永遠の0」など、戦争をテーマにしたアニメや映画のヒットも影響した。

  インターネットのブラウザゲームで、「艦これ」を楽しんでいる県立大ソフトウェア情報学部4年の男子学生は、「艦隊を自分が思うように編成できるのが面白い。練度を高めるのが難しい」と話し、夢中になっている。

  「ゲームで『艦これ』をやるまで、戦争に関する知識と言えば、零戦の形がぼんやり分かるだけだった。『艦これ』を通して、歴史物を読むようになり、太平洋戦争がどのように進んだか調べたい」と話し、教養に反映させている。

  盛岡市愛宕町の模型店のホビープライムでは、「艦これ」のプラモデルを前面に陳列している。川村慎一店長は「戦争に絡んだ動機抜きで、『艦これ』に興味を持つ人がいるので、きっかけは形からではあれ、キャラクターのフィギュアを作ることによって歴史の知識を深められるのでは。若い人のほか40代や50代の人も買っていく」と話し、幅広い世代の支持がある。

  本来ハードな戦史の知識と、アニメやゲームのようなソフトを結びつけたことがヒットに結びついた。高校非常勤講師で、プラモデル製作者として全国的に知られる矢巾町の佐藤邦彦さんは、「艦これ」ブームをこう見る。

  「プラモデルの人気は『ガンダム』などが主流だった。ネット上で飛行機の人気が盛り上がり、『艦これ』は、軍艦を女の子になぞらえて、太平洋戦争の中に引き込んだことが人気を呼んだのでは。はっきり米国を敵にするのではなく、地球防衛軍的に活躍できるように考えられている」と話す。

  「今の40代後半から50代の人は子どものころのプラモ作りを通して、太平洋戦争の知識を蓄えた人が多い。30代にはそれがなく、戦争に関する知識がほとんど通じないことがある。それよりさらに下の若い子に『歴女』と呼ばれるような日本史に詳しい世代が出てきた。『艦これ』も現実の歴史に対する関心に結びついているのではないか。実際に、若い女の子が真田幸村に始まり、東郷平八郎や山本五十六の話まで持ち出し、聞いていて自分さえ太刀打ちできないと思うことがある」と話し、時代の移ろいに改めて考えをめぐらす。


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