盛岡タイムス Web News 2014年  8月  17日 (日)

       

■ 〈ジジからの絵手紙〉69 菅森幸一 黄金バット

     
   
     
  ジジの80年近い人生の中で、もらって一番うれしかった贈り物は何かと尋ねられたならば、間違いなく6年生の夏休みに腰が抜けるほど感動したあの時を思い出す。

  会社から帰宅した父さんが新聞紙でくるんだ包みを「ホラ」と無造作に渡してくれた。大急ぎで開封すると中には永松健夫が描く「黄金バット」が表紙を飾る「冒険活劇文庫創刊号」が入っているではないか。

  この本は今までの少年雑誌から堅苦しい小説や記事を一切省き、絵物語や漫画を中心にした新しいスタイルの、いうなれば雑誌版紙芝居で、日本で初めて明々社が発行し、後に「少年画報」と名前を変えた画期的な少年雑誌の第一号である。

  当然、ジジたちの間での前評判は高く誰が一番先に手に入れるかが関心の的だった。喉から手が出るほど欲しいジジも母さんにグズグズとねだっていたのだが、さすが父さんには言い出せず、ほとんど諦めていた時だったからその驚きと感激は半端じゃなかった。

  予想だにしなかった父さんからの贈り物に「よし勉強も頑張るぞ」と心に誓ってはみたものの、得意満面に友達に見せびらかしているうちに、その決心は見事にどこかへ飛んでいってしまったらしい。


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