盛岡タイムス Web News 2014年  8月  19日 (火)

       

■  〈詩人のポスト〉照井良平 「農婦」


あの汽笛は
蒸気機関車の望みの汽笛
釜石線を海に
復興の祈りを込めて走り出した
40数年ぶりの汽笛

その汽笛が聞こえてくる畑で
老農婦が一人
背丈の伸びたキュウリの背に隠れ
陽射しを避けて座っている
あちらこちら
ぽつねんと畑を見渡しながら

空は青く
点々と雲が遊んでいる
一杯のコップを持っているが
真夏だから冷たい茶 水だろうか
ひやっとした素振りから
やはり冷たい飲み物であろう
農婦の至福の一時
作物と土に囲まれた
様になる構え

汽笛がまたポー
ポッポーと畑らく中に響き渡り
風情を作るのだが
老農婦の夢は
この空の
どこに響いていくのであろうか
市場の値札を見ると
乾いた土が一層乾いて
響いてくる




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