盛岡タイムス Web News 2014年  8月  23日 (土)

       

■ 〈体感思観〉 編集局 山下浩平 経験語り継ぎ防災力に 


 

 昨年8月9日に発生した集中豪雨による災害から1年がたった。これまで経験したことがないような大雨≠経験してから、よく確認するようになったデータがある。気象庁ホームページの1時間降雨量だ。もちろん、晴れた日に見ることはないが、強めの雨が降り続くような日には欠かさず見ている。「あ、これはかなり強いな」と思って確認しては、小さい数値に安堵(あんど)する。ほとんどの日が「あの日」の半分にも及ばない。

  同データの観測史上1位の項目は、同日付で雫石の欄には78_、紫波は71_の記録が記されている。災害から1年を迎えて復旧状況を取材したが、広い地域でインフラ、農作物、農業用施設で多大な被害を受けたことを再認識した。初めて床上、床下浸水を経験した住民もいれば、過去に何度も被害を受け、行政も対策はしているが、そのつど、想定を上回る規模で対応できず、再び被害を受けた地域もある。

  住民に与えた不安は、どれほどのものだろうか。災害当時、床上浸水した民家から住民が消防署員によって救出される現場に遭遇した。助けられたのは3人だったと思うが、その中の一人は寝たきりの高齢者だった。街灯が倒れるなど、地盤の緩みが家屋にまで影響すれば、最悪の事態になっただろう。

  「あれ以上の豪雨はいつか必ず来る」。浸水被害を受けた住民の言葉だ。災害を受け、自主防災に対する関心が高まった地域や、協力して風評被害に立ち向かう観光地もある。一方で関係者が恐れているのは、災害経験の風化である。経験は語り継いでこそ、防災にとどまらず、今後の地域づくりのヒントにもなり得る。風化防止のため、われわれにできることも少なくないはずだ。 


本ページ掲載内容の無断転載を禁じます
ホームページに関するお問い合わせ、取材に関する情報は
E-Mail:hensyuu@morioka-times.com
盛岡タイムス宛てにお願いします