盛岡タイムス Web News 2014年  8月  24日 (日)

       

■ 的確な勧告、指示へ 市町村発令までの過程重視 顔の見える関係構築を 専門機関などバックアップ 県総合防災訓練 土石流災害を想定

     
  県総合防災訓練に向けて協議する斎藤氏と県や岩手河川国道事務所、盛岡地方気象台の関係者ら=22日、放送大岩手学習センター  
   県総合防災訓練に向けて協議する斎藤氏と県や岩手河川国道事務所、盛岡地方気象台の関係者ら=22日、放送大岩手学習センター
 
   岩手山噴火と降灰による土石流災害を想定し29日と30日に実施される県総合防災訓練では、避難勧告・指示の発令プロセスに重点を置いた新たな訓練を試みる。大雨が予想される段階で気象台、岩手河川国道事務所、研究者らが、互いの情報を出し合って危険区域を予測。避難勧告や指示を出す市町村をバックアップする流れだ。頻発している土砂災害では、住民への避難勧告や指示が遅れて、被害が拡大したケースが少なくない。訓練成果を噴火災害以外の危機管理にも役立てる。

  1998年の岩手山の火山活動の活発化を受けて、00年3月に策定した「岩手山火山防災ガイドライン」は、噴火当初、学識経験者でつくる岩手山の火山活動に関する検討会が、知事へ防災実務情報に踏み込んだ助言をし、さらに、知事が市町村長へ助言すると定めている。

  しかし、噴火後の降灰と大雨による土石流への対応方法は、他の火山を含めて定めがなく、2011年の霧島連山・新燃岳(1421b)の噴火では、地元自治体や国土交通省が避難勧告を出す基準降雨量を、たびたび修正するなど混乱した。

  そこで、今回の訓練では降灰後、大雨注意報が発令された段階で盛岡地方気象台、岩手河川国道事務所、研究者、自治体の防災担当者らが緊急に協議する場面を設定。降雨予測、降灰区域などの情報をもとに土石流危険区域を予測して周辺市町に助言し、住民に避難指示を出すまでの一連の流れを盛り込んだ。

  「避難勧告や避難指示を、どの時点で、どの地区に出すのか。関係市町にとって、その判断が一番難しい」。岩手山火山災害対策検討委員会委員長の齋藤徳美氏(放送大学岩手学習センター所長)は、緊急時に市町村を支えるための「顔の見える連携」を重ねて主張してきた。

  避難勧告や指示の効果を上げるためには、範囲を限定し、必要な区域に発令することが望ましいが、緊急時に市町村だけで的確な判断を下すのは難しい。噴火災害に限らず、近年は集中豪雨による土砂災害が頻発。「関係機関が連携して災害の危険を判断するシステムが生きた地域防災の根っこになる」と力を込める。

  岩手山火山防災マップにも一定の条件下でシミュレーションした危険区域が掲載してある。ただ、実際には短時間で予想を超える雨が集中して降ることも予想され、防災マップは「あくまで目安に過ぎない」と斎藤氏。住民に対しても「一度は家族で決めた避難場所に足を運んでおくとスムーズに行動できる。訓練でできないことは本番では決してできない」と警鐘を鳴らす。

  今回の訓練では、土石流発災後の防災対策や応急対策にも県、市町、防災関係機関などが連携して取り組む。訓練結果は今年度中に改訂予定の同ガイドラインにも反映させる。

  岩手河川国道事務所調査第一課(災害情報普及支援室)の山影修司課長は「住民を守るためには一つの機関の持っている情報や役割だけでは足りず、連携して関係自治体に危険を知らせることが重要」と指摘。

  盛岡地方気象台の青木元・台長も「住民の命を守るという目的は一つ。災害時に、関係機関が、いきなり連携を取ろうと思っても難しい。あらかじめ顔の見える関係をつくっておくことが適切な避難行動を促すことにもつながる」と話す。

  県総合防災室の會川雅行防災危機管理監は「噴火災害に限らず、普段から連携が取れる体制を取っていきたい。災害を最小限に食い止めるためには、住民にもエリアメールなどを活用した気象や災害情報の収集、自主防災組織の対応強化などを心掛けてもらう必要がある」と呼び掛ける。

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