盛岡タイムス Web News 2014年  8月  28日 (木)

       

■  〈夜空に夢見る星めぐり〉361 八木淳一郎 Yさんの星


 知り合いのYさんは、ついこの間まで高校の地学の先生をやっていました。無事定年を迎えたのですが、引き続き研究テーマに没頭する忙しい毎日を送っています。高校の先生をやっているときは、授業ばかりでなく天文部のクラブ活動の顧問としても活躍しておりました。天文部の部員に天体観測や研究発表の指導を行い、昼に夜に大忙しです。地質や鉱物の探索・研究は、かつての博物館勤務の時代から手掛けていて、遠く南極まで出掛けたり、北上山地の地中深く潜り込んだり、この人は一体いつ寝ているのだろうと不思議に思えるほどの八面六臂(ろっぴ)の活躍ぶり。定年後は、いよいよ悠々自適かと思えば、決してそんなこともない相変わらずの毎日。

  そこで私は、Yさんはひょっとしたら他の星から来た人ではないのかと真面目に思ったのでした。いや、決して風貌がどうのということではありません、念のため。

  そこであるとき、Yさんにさりげなくこんな質問をしたのでした。「ホヤ≠竍ナマコ≠ヘお好きですか?」。するとYさんは「いえ、私は苦手なんです」。この返答に一瞬耳を疑い、ちょっとどころか非常にがっかりしたのを今でも覚えています。「え?そうなんですか…。てっきり大好物かと思ってました…」「一体どうしたんですか?」「いえ、何でもないです」

  それというのも、私が友人の一人から、こんな話を聞かされたからです。「ホヤとかナマコ。あれは絶対に地球外の高等生物が、地球に移住するに当たって食糧として前もって地球の海で養殖しておいたものに違いない」と力説したことがあるのです。しかも、友人はある雑誌にそのことを堂々と書き立てていたのでした。言われてみればなるほど、と単純に信じる方にも問題があるのかもしれません。Yさんが宇宙人であればと期待を込めて尋ねた結果は見事に裏切られたのでした。

  これは、Yさんが正体を見破られないよう、うそをついているのか、あるいは先祖が地球人になじませるよう嗜好(しこう)を矯正したものか、それとも友人のホヤ・ナマコ宇宙人食糧説がもともと誤りなのか。正直、結論を出すには至っていないのです。あのバイタリティーの源はホヤやナマコでなければ何なのか、何かのサプリメントなのか。新たな疑問が浮かびます。

  きょうもYさんは、晴れていれば夜空を観測し、盛岡の気象の特異性を探究し、地底奥深く掘り当てた鉱物を慈しみ、はたまた、たくさんの人たちを啓蒙(けいもう)する活動に余念がありません。Yさんには、これからも母なる星に帰らずに、ずっとこのまま地球にいて、私ども地球人にさまざまなことを教えてくれるよう願ってやみません。
(盛岡天文同好会会員)


本ページ掲載内容の無断転載を禁じます
ホームページに関するお問い合わせ、取材に関する情報は
E-Mail:hensyuu@morioka-times.com
盛岡タイムス宛てにお願いします