盛岡タイムス Web News 2014年  8月  31日 (日)

       

■  火山噴火大雨土石流「複合型」に総動員 県総合防災訓練 広島教訓、走る緊張 八幡平、滝沢、雫石など6千人展開


     
   高速道アンダーパスで土石流せき止めの土のうを積む訓練(八幡平市平笠)  
   高速道アンダーパスで土石流せき止めの土のうを積む訓練(八幡平市平笠)
 

 県の2014年度総合防災訓練は30日、岩手山麓周辺の八幡平、滝沢、雫石の3市町などを主会場に開かれた。98機関、約6千人が73項目の訓練を実施。火山噴火の降灰とその後の大雨に伴う土石流発生という複合型災害に対して、県や専門家の検討、助言により3市町長が被害の想定される範囲に避難勧告・指示を出す一連の流れが試された。東日本大震災津波や広島市で多くの犠牲が出た土砂災害を踏まえ、発災後の実践的かつ広域的な訓練が展開された。

  訓練想定は、28日に岩手山の東西2カ所で噴火が発生し山麓地域に降灰が確認された。29日の段階で30日から大雨の予報となり、県が災害対策本部員会議を招集し、今後の応急対策への助言と、避難勧告などが必要な地域が分かり次第、連絡することを八幡平、滝沢、雫石3市町に伝えた。

  これを踏まえ、同日明け方から雨となり、県は土石流災害の発生が高い居住地域を推定し、3市町に勧告などを助言。その後大雨洪水警報や土砂災害緊急情報が発表され、3市町は勧告を発令した。住民の安全確保へ必要な防災対策が3市町を会場に訓練で繰り広げられた。

  訓練副統監の深谷政光雫石町長は「テレビ会議システムで県災害対策本部に参加し、県の体制や助言に関するプロセスが分かった。どこが危険なのか範囲が絞り込まれ、災害の種類などによってしっかりと今後に備えることができると思う」と述べ、県や広域的な対応へ期待感を示した。

  また、八幡平市平笠2地割地内では、土石流の居住地域への流出を防ぐため、高速道路のアンダーパスに土のうを積み上げ、せき止める訓練が行われた。消防署、同市の消防団と建設業協同組合、県、岩手河川国道事務所、陸上自衛隊などから総勢60人が参加した。

  土のうは1袋1dあり、3段に積み重ねられ、計60袋を使用。自衛隊の車両で搬入し、建設業者が重機でアンダーパス前に積み上げた。消防団員らが1袋30`の土のうで、隙間を敷き詰めた。

     
   避難者の避難所受け入れ、炊き出しなど各種訓練や災害関係展示が行われた松尾コミュニティーセンター  
   避難者の避難所受け入れ、炊き出しなど各種訓練や災害関係展示が行われた松尾コミュニティーセンター
 


  各市町では勧告の出た地域住民が所定の避難所へ避難。小学生が授業中の設定で勧告後に避難する訓練もあった。八幡平市では松尾コミュニティーセンターに避難所が開設され、避難所運営や炊き出し訓練が行われた。

  同市野駄の田村夏子さん(76)は「いざとなったら薬手帳を持って避難所へ行く。一人暮らしでも近所の方に世話になっているから心配ない」と話していた。1998年に噴火の恐れがあって以降、枕元には常にラジオと懐中電灯を置いて寝ているという。

  統監の達増知事は訓練後、「昨年の大雨洪水でも県が積極的に勧告発令について市町村へ助言している。原点は98年の火山活動活発化で、他に例のない方法を構築してきた。今回改めて岩手型の訓練を試すことができてよかった。広島市の土砂災害での勧告・指示が問題になっているが、一つの方向性が出せてよかった」と総括した。
 


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