盛岡タイムス Web News 2014年  9月  14日 (日)

       

■ 〈ジジからの絵手紙〉71 菅森幸一 オハジマサン

     
   
     

 「ヤレ、ヤレ、ヤレ、…」毎年この時期になると心を揺さぶられる懐かしいハヤシ声が聞こえてくる。オハジマサン(ジジたちは八幡様をこう呼んでいた)のお祭りが今年もやってきた。

  戦争で途絶えていた八幡様のお祭りがいつ頃から復活したのか定かじゃないが、ジジの記憶の中でのオハジマサンのお祭りは露天商人が軒を連ねている、ちょうど今の夜店のような風景だった。それは八幡宮への参詣の道路の左右を埋め尽くし、ほとんどが店などという代物ではなく地面に直接品物を並べる程度のものだった。

  その中でも特にジジの興味を誘ったのが「拡大器」と称する小さな写真から大きな絵を描く画期的道具を販売している一見芸術家風の男で、外国の映画スターの絵をベタベタ貼った前で、誰でも簡単に絵が描けるという「フーテンの寅さん」顔負けの口上をまくし立てていた。

  巧みな話術に惑わされ何時間も同じ話を繰り返し聞いた。拡大器を使って実際に絵を描くところを見たいばかりに何日か通ったが、その男はしゃべるばかりで結局は拡大器を使って一度も絵を描くことはなく、すごくガッカリだったよ。


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