盛岡タイムス Web News 2014年  9月  15日 (月)

       

■  松川で抜本的な治水対策 家屋浸水被害防止最優先に 台風18号被害から1年


     
  河川の災害復旧が進められている松川の古川橋下流  
 
河川の災害復旧が進められている松川の古川橋下流
 

 松川が氾濫し、盛岡市玉山区や八幡平市などで大きな被害をもたらした2013年9月16日の台風18号から16日で1年を迎える。同市玉山区では、下田地区、向川崎地区、古川橋周辺、松内地区で66戸が床上浸水、20戸が床下浸水したほか、国庫補助復旧対象5216e、市単独補助復旧対象2829eの農地、農業施設26棟などに被害が発生。農地は、河川の災害復旧に伴う一部を除き、既に復旧は完了した。河川は、盛岡広域振興局土木部が、区内9カ所で、コンクリートブロック積工などにより、被災した堤防や河岸の復旧を実施中で、14年度中の完成を予定する。災害復旧に加え、同規模の洪水でも家屋の浸水を防げるよう、県県土整備部河川課も長期間をかけて抜本的な治水対策を計画している。

  台風18号による洪水は、統計的にも非常に大きなもので、改修により同規模の洪水から全ての被害を防ぐのは困難。同部河川課の上澤和哉河川海岸担当課長は「田んぼや畑の浸水、家屋の浸水など全ての対策を同時にするためには時間も事業費も大きくなる。まずは家屋の浸水被害を防ぐことを最優先に進めていきたい」と治水対策の方針を話す。

  松川流域は、上流部は谷のような掘り込み河道が主体で、下流部は築堤箇所が多く、浸水防御対象となる家屋が谷底の平野部に点在している。これらの状況を勘案し、県では洪水時に水位の低下を図るため河道掘削を行うほか、築堤、輪中堤による治水対策を講じる。

  14年度中に河川法に基づく河川整備計画を策定し、国に新規事業の採択を要求。採択された場合、15年度にも詳細設計、用地測量・用地取得、工事などに着手する。

  堤防の整備を行うのは、松川の石花地区から北上川との合流点までの区間。堤防がない、あるいは堤防が低い箇所に土を盛って堤防を築き、洪水時に氾濫を防ぐ。石花橋上流の石花地区、夏間木橋下流の古河川原地区は、特定の地域を洪水から守るために集落の周囲を囲うように堤防を築き、洪水時に家屋への浸水被害を防ぐ輪中堤も整備する。住宅を囲む輪中堤の区間では、事業実施後に堤防よりも河川側に住家が新たに立地しないような対策も今後の課題となる。

  河道掘削や築堤などハード対策と併せて、水位周知河川の指定など、住民の避難に資するソフト対策も進める。台風18号では、避難勧告の遅れで孤立する住民がいた。14年4月に内閣府から公表された避難勧告等の判断伝達マニュアル作成ガイドラインに基づき、同市が8月に策定した判断基準では、松川は水位周知河川に位置付けられ、避難判断水位(2・7b)を超えた場合に避難勧告が出される。

  同市では、8月に玉山区の全世帯に対し、松川の浸水被害に対する注意喚起に関する回覧も行った。松川の水位上昇により洪水などが発生する恐れが生じ、避難が必要と判断したときの情報提供方法、治水対策の方針などを掲載。▽各自治会長、自主防災組織や民生委員への連絡▽防災行政無線▽携帯電話への緊急速報メールの送信▽テレビ・ラジオによる緊急放送▽広報車両による巡回広報―などを紹介し、スムーズな避難につなげる。
      (泉山圭)



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