盛岡タイムス Web News 2014年  9月  29日 (月)

       

■  〈幸遊記〉194 照井顕 金子飛鳥の炎立つバイオリン


 盛岡市在住作家・高橋克彦氏原作のNHK大河ドラマ「炎(ほむら)立つ」が、舞台劇となり、2014年8月9日の東京Bunkamuraのシアターコクーンを皮切りに、愛知、広島、兵庫で上演され、9月21日、1千年前の「炎立つ」舞台であった「岩手」県民会館大ホールで千秋楽を迎えた。

  その千秋楽前日の公演を終えた深夜、舞台音楽担当の金子飛鳥さんたちが、開運橋のジョニーに現れた。1人はギタリストの宮野弘紀さん、彼は1970年代の末ごろ、僕がプロデュースしたジョニーズ・ディスクに初レコーディングし上京。以来ギター一筋に生きてきて漣(さざなみ)奏法を生み出し、ギターに恩返しをした男。来盛のたび、僕を招待してくれる恩義の人でもある。バイオリニストの金子飛鳥さんは、50を超える国々で演奏活動を行い、20タイトルを超えるアルバムを発表して来た人。東京芸大時代からプロ活動で多くの有名歌手や演奏家たちをサポートし、盛り立てるプロ中のプロストリンガー。

  翌日、僕ら夫婦は、県民会館の1階招待席12列24・25に。10列の席には何と原作者の高橋克彦氏(67)が座っていた。1千年前、藤原清衡によって築かれた百年の平安浄土“平泉”「その万物平等の理想郷は、軍事力でも支配力でもない、運命を引き受けた人間の凄まじい意志の力によって実現した」そこに至るまでの戦いと、心の葛藤を舞い・演じ・歌い・語りで描いた作品。

  キヨヒラに片岡愛之助。イエヒラに三宅健。アラハバキの神に平幹二郎。そしてキリ(キヨヒラの妻)役に岩手(盛岡と奥州市)出身の親たちから東京で生れた宮菜穂子。昔、蝦夷(えみし)の者は百人分の力を持っていたとされるが、出演した舞姫たちは、何千、何万人分もの表現者となる演出照明。その素晴らしさに驚きながら、それぞれの動作所作と一体化し、それらをより鮮明に浮かび上がらせる黒子役の音楽に感動しまくった。

  前夜、飛鳥さんはホテルに戻ってから最近のアルバム5枚から選りすぐった9曲をCD−Rにまとめ、ホテルのメモ用紙に曲名などを書いて届けてくれたのです。とっさに僕は、よろこび・のう・ひびき・とぶ「喜脳響飛(きのう・きょう・あす)」と、以前に書いた「書」を思い出していた。あと31年(戦後100年)不戦の国日本は“平泉”を越せるのだろうか?(カフェジャズ開運橋のジョニー店主)


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