盛岡タイムス Web News 2014年  10月  6日 (月)

       

■  〈幸遊記〉195 照井顕 根子精郎の本藍型染め


 「青は藍より出(い)でて藍より青し」という中国のことわざがあるけれど、本物の「藍は青より深く紺より淡し」昔から日本人が最も愛し好んできた味わいに満ちた色である。その原料である「?(すくも)」と呼ばれる江戸時代から続く古法で作られる藍染の原料を作る藍師も、日本にはもう5人しかいないのだそうである。同じ藍色であってもインディゴ(化学的な大和藍)では、のっぺりとしたきれいさで、洗えば色落ちし、他に移るが、本藍は、色落ちがなく体にも優しく殺菌作用まである。

  その藍に見染められたのか見染めたのかは知らないけれど、本当に愛して藍の型染め屋を始め「ねこの染物屋」という看板を掲げた根子精郎さん(60)は、そこにたどり着くまでに山ほどの職務経験を積んだ人。何もかもが便利なデジタル時代に、超アナログな藍に魅せられてしまった彼だが、紫波に生まれ、盛岡工高にデザイン科ができた時に入学、卒業して、入った会社が東京の玩具研究所。朝から晩まで何をして遊んでもいい会社。ゼロから特許、生産ラインに持っていくまでの、ありとあらゆるアイデアを生み出す仕事の青春時代が今につながっている様子。

  僕が根子さんに出会ったのは、盛岡手づくり村にある藍染屋の「たきうら」さんの「ゴツボギャラリー」で「藍書展」を開かせてもらった2007年5月。藍書といっても僕は墨の代わりに“藍色のインク”を使って書いているのだが、その「たきうら」さんで彼は修業していたのだった。その時、根子さんは僕に何点かの書をリクエストした。それが始まりで、彼の店のロゴ(看板)を書かせてもらい、作品となる染字も、随分と採用していただき、手拭いや、暖簾(のれん)となり、僕の店に飾らせていただいておりますが、とてもうれしくて、うれしくて仕方がない。時がたつほど藍着(あいちゃく)が増しています。

  2014年9月、盛岡の新商業施設「Nanak(ななっく)」の平金ギャラリーで開かれた彼の藍染作品展示即売会で、贈り物として飛ぶように売れたのが、手拭いや、暖簾ならぬ“フンドシ”だったという。買った方は、藍(愛)で見染めた人の雑菌を殺菌する効果を狙ってのことだろうか?と、一人悦に入り笑った僕でした。(カフェジャズ開運橋のジョニー店主)


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