盛岡タイムス Web News 2014年  10月  12日 (日)

       

■  〈ジジからの絵手紙〉73 菅森幸一 銀映座


     
   
     

 今の長田町、東日本ハウスのビルが建っている辺りに「銀映座」という映画館があった。一階の前の方が地面に座って見る枡席(ますせき)のような造りになっていた。一流の封切館には程遠かったが、家に近く何より料金が安いのが魅力で、漂ってくるトイレの臭いを我慢することなどは何でもなかった。

  駐留軍の命令でチャンバラ映画は禁止されたが、それに取って代わったのが探偵映画である。名探偵が拳銃を片手に悪人どもを退治する痛快さにジジたちはたちまち夢中になった。中でも(七つの顔の男・多羅尾伴内)で有名な「ある時は片目の運転手」の名セリフは誰もが知っており、誰が遊びの主役(多羅尾伴内)になるか大いにもめたものだよ。

  父親の古いソフト帽や鳥打ち帽をかぶり、風呂敷をマフラー代わりに手製の拳銃を片手に口で「バンバン」撃ち合うだけの単純な遊びだが主役と悪人では雲泥の差、悪人は地べたに何度も倒れなければならない。映画の内容をよく知る銀映座通いのベテランが当然主役の椅子を勝ち取って映画のストーリー通りに遊びを演出し監督の座をも得ることになるのだ。


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