盛岡タイムス Web News 2014年  11月  9日 (日)

       

■  〈ジジからの絵手紙〉75 菅森幸一 室(むろ)


     
   
     

 冷蔵庫が一般的でない時代だった。温度を一定にし食料や野菜などを管理保全する方法として土中を深く掘り貯蔵庫として活用したのが室(むろ)である。わが家の裏庭にもこれがあって、戦時中は敵の空襲から身を守るために、さらに掘り進め「防空壕」としても使っていた。

  しかし、盛岡が空襲に遭ったのは二度だけ。三月十日は目が覚めた時にはもう家の周りは火の海で、八月十日はどういうわけか母さんと布団をかぶって押し入れの中で震えていたので、防空壕の恩恵は直接受けていない。しかし、連日のように公園のサイレンが警戒警報や空襲警報を告げるたびに防空壕に退避していたのだから、なじみの深い場所ではあった。

  戦後、防空壕はもとの「むろ」に戻った。何しろ7〜8人くらいの人間が退避できる空間を持つ場所だったから、ジジたちにとっては願ってもない遊び場だ。照明がないのを我慢すれば天候に左右されない絶好のたまり場だったが、だんだん調子に乗ってろうそくやマッチを持ち込んだりして、ついには大目玉を食らい、父さんに「むろ」の中に軟禁される羽目になり大いに反省したものだったよ。


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