盛岡タイムス Web News 2014年  11月  11日 (火)

       

■  〈イタリアンチロルの昼下がり〉213 及川彩子 世界一周の旅人


     
   
     

 庭のツタや紅葉ばかりでなく、最近はイタリアでも人気の、「中国提灯」と呼ばれるホウズキ。その真っ赤な実も目に鮮やかな10月のある日、世界一周の旅を続ける若者が、わが家を訪ねて来ました。

  数日前に、東欧スロベニアの港から船で南イタリアに到着。ローマ、フィレンツェ、ベネチアと回り、ここ北イタリアのアジアゴへ。20`もの大きなリュック姿でやって来た旅人は、盛岡出身の櫛引亮君、26歳〔写真〕。以前、合唱仲間だった彼のおばあさまとのご縁で訪ねてくれたのです。

  今年の5月、日本をたち、東南アジアを皮切りに、インド、パキスタン、イラン、トルコ…。素泊まり宿を泊まり歩く節約生活、習慣の違う途上国での疲れを感じさせない、軽やかな足取りには驚きです。

  わが家に滞在中は、アジアゴ名物に加え、のり巻きやカレーの日本食など、しばしの家族だんらんを楽しんでくれました。

  見知らぬ国の興味深い話と、「旅人」になった経緯を聞くと、岩手日報の記者で、東日本大震災後、宮古支局に勤務し、復興を担当。その間、日に日に世界への思いが募り、入社4年で退職したのだとか。

  「旅は片道切符」と言いますが、「1年の旅を終えたら、日本でまた働きます」と、開放的な笑顔にも、鋭いまなざしが光ります。迷いと不安、それを次の一歩に変えるすべを、旅すがら学んだのかもしれません。

  人はなぜ旅に出るのか…古代からの旅の歴史をひもといたE・リードの名著「旅の思想」に、「旅人の感動を引き起こすのは、街の光景ではなく、単に街が存在しているという事実。文献や大量のイメージではない土地の持つ力の起源である」とあります。

  イタリアの次は、夜行列車でアルプスを越えオーストリア。その後、欧州・北欧を回り、年末にはアフリカへ。思い描く世界地図に、確かな軌跡を記し、旅立って行きました。


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