盛岡タイムス Web News 2014年  12月  2日 (火)

       

■  〈詩人のポスト〉「深まりゆく秋に」 藤野なほ子



残照の中を 冬に向かって歩いていく
ひらひらと舞う 落ち葉
どこまでも続いていく かすかな音

深みどりや黄色 また紅くと
色とりどりに美しく染められた木々の葉が
時の中に流れていく
数々のメッセージを秘めて
幾重もの時が重なる間を

夏 陽を浴びてせいいっぱい伸びた生命
風にあおられてたえずはがれ落ちていく
とどかなかった沢山の思いが宙に舞って
時には深く 時には淡く
息づく木々の葉の
胸をついて出る無数の思いが
一瞬のきらめきとなって
夕映えにそまる

人の生命の火は短かいのに
もっと短い小さい虫達も生きる
やがて冬
今日を明日に生かすものは何か
模索しながら
傾きかけ凍りついていく光の中
早くも葉の落ち尽した しだれ桂の
細い枝先きが風にゆれるのをみながら
過ぎ去る時の足音をきいていた



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