盛岡タイムス Web News 2014年  12月  5日 (金)

       

■  文化育み茶話咲いて コーヒー店湖月 41年の営業に幕


     
  カウンターで笑顔を見せる古谷英夫さん(左)と妻キミさん  
  カウンターで笑顔を見せる古谷英夫さん(左)と妻キミさん
 

 盛岡市民に約41年間親しまれてきた喫茶店「コーヒー店湖月」(盛岡市南大通1の3の4)は、12月30日をもって閉店することになった。深い味わいのコーヒーとレトロな雰囲気の店内は時代を越え、さまざまな客でにぎわった。24年前に故・伊山誠幸さんの写真展の会場となったことから、多くの芸術家の活動を後押しするギャラリーとしても人気を集めた。閉店を前に、店主の古谷英夫さん(75)、キミさん(73)夫妻に話を聞いた。

  英夫さんは福島県南相馬市生まれ。東京都内で働いた後、両親の実家のある盛岡に移り、1974年に同店を開いた。店名は京都の老舗料亭から拝借したという。開店当時は現在と同じ場所の地階にあったが、82年に隣接する建物で火災があり、その後現在の2階に移った。

  伊山さんによる最初の展示会を、英夫さんは「午(うま)年だったこともあり、伊山さんはここに馬の写真を60点も飾った。階段からトイレまで飾るので『盗まれるんじゃないか』と言ったが、『盗まれてもいい』と言っていた」と振り返る。その後、伊山さんの紹介で絵画グループかたつむりの展示会場となり、同グループの展示は現在も続く。キミさんは「毎月違う絵を飾ってくれて、私たちにとっても楽しみだった。だんだん上手になっていくのが素人目にも分かる気がした」と笑顔で話す。

  そのほか紫波町に「愚黒窯 黒工房」を構える黒崎徹さんの陶作品や地元作家の革製品などの展示・販売会も開催。直接店の利益にはならないが、作品が売れるとうれしかった。画家・藤井勉さんとも早くから親交がある。英夫さんは「売れっ子になる前によく来ていて、絵を買ってほしいと言われたこともある」と懐かしむ。

  「新しい豆で、新鮮なコーヒーを焼いて出している」と、シンプルなこだわりを41年続けてきた。英夫さんは「盛岡は住みやすくていいところ。お客さんがどこに住んでいて何をしているのかすぐ分かる」と言い、キミさんは「いろいろなお客さんと接し、知り合いもできて良かった。火事のときにもお客さんに救われ、盛岡の人の温かい人柄を感じた」と振り返った。

  今後は東京に住む息子のもとで暮らすという夫妻。店舗を利用して店をやりたい人がいたら、設備をそのまま提供したいとも考えている。英夫さんは「みんなにお世話になりありがたかった。お客さんがお客さんを連れてきてくれて、友達や趣味の仲間もたくさんでき、やってきて良かったなと思う」と感謝を語った。

  営業は、午前11時から午後9時まで。


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