盛岡タイムス Web News 2014年  12月  8日 (月)

       

■  〈幸遊記〉204 飯田久美子のダブル・スインギン 照井顕


 ジャズボーカリスト・飯田久美子さんの歌声を初めて聴いたのは、飯田ファンで熱烈な後援者でもある江戸ペン屋・中村寛昭さんからプレゼントされた彼女のデビュー作「マンハッタン・スイング」でだった。それはニューヨーク・マンハッタンの名門・アバタースタジオで2010年5月に、ジャズピアニストのジュニア・マンス(1928年生まれ)と共演したCD。すでに魅力的な個性にあふれていた。

  「ファンタスティック・スインギン、全ての面でグレートな歌手」と飯田さんを評したそのジュニア・マンスの伴奏を聴きながら、僕は83年10月に気仙沼市民会館で聴いた、彼のトリオによるコンサートの光景や音が、ふと頭に浮かんだ。

  昨今、満開状態のボーカル界だが、飯田さんは子どもの頃からピアノやバレエを習い、聖歌隊、合唱団、ミュージカルを経て、かつては幻のジャズボーカリストと呼ばれ、40歳でレコードデビューしブルージーと絶賛された、日本最高のジャズ歌手・沢田靖司氏(1939・昭和14年生まれ)に師事し、習練と研さんを積んでのデビューだった。「敬虔(けいけん)な心で音楽と向き合い、自分の可能性を信じて、努力を惜しまず前進して行きたい。愛と感謝を込めて」そうデビューアルバムにサインをしていた彼女。

  昨2013年東京で本人と出合い、その気さくな人柄に心引かれ、僕の店「開運橋のジョニー」でも出演してもらった。その時のステージマナー、初顔のピアニスト・藤原建夫さんとのコミュニケーションの取り方、そして何よりの歌、すっかり気に入ってしまった僕は9月の第1日曜に開催している「第8回岩手あづまね山麓・オータムジャズ祭」で武藤晶子ピアノトリオで歌っていただいた。そのステージ衣装は盛岡・開運橋のジョニー前ブティックで買ったのだが、その時、自分のCDもそこの店に買ってもらったほどのプロ根性の持ち主。しかし本人はいたって自然で上品で、しかも美しいのだ。

  往復3時間、週1欠かさず10年間レッスンを受けてのデビュー。ドイツやスペインのステージに立ち、今年は師・沢田靖司さんをゲストに迎えて、市川秀男トリオと録音。そして、第7回澤村美司子音楽賞「特別奨励賞」。第30回日本ジャズボーカル賞「新人賞」をダブル受賞したのです。おめでとう! おめでとう!
(カフェジャズ開運橋のジョニー店主)


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