盛岡タイムス Web News 2014年  12月  9日 (火)

       

■  〈詩人のポスト〉 「母の歌」上斗米隆夫


秋の初めの
冷たくなった気流が
ふと
ぼくを通り抜けると
決まって
胸の奥で
ヒュウと 笛が鳴った

ああ
これが
母の残こした
唯一の記憶だ

友達と行くはずだった
八幡様の宵宮も
期末テストの前夜も
過敏なぼくの
気管の奥で
母は
ひたすら
歌っていたのだ

きまぐれな
今日の秋に
胸の奥が
ふと
震えて
遠い遠い
母の歌が
独り言のように
小さく
聞こえたりする



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