盛岡タイムス Web News 2014年  12月  15日 (月)

       

■  〈幸遊記〉205 照井顕 佐々木勉の鐙庵南部絵馬


 まもなく午(うま)年だった2014(平成26)年が終わる。僕は今年正月、ずっとずーっとご無沙汰していた年賀状(念願状)をやっと出しました。はがきの裏面には馬の字の四つの点(足)を心に変えた絵文字のような「まごころ」。久々に年賀状を書こうかと思ったのは、僕の店に飾ってあるレコードのように丸い板に描かれている馬、そのお尻の上に止まった鳥が、仲良く馬と話をしてるような、気持ちのいい絵馬を見ている時でした。これはきっと「馬の心得」(作者の心絵)なのだと感じた僕。

  絵馬の作者は、「ささべん」さんこと、南部絵馬師・鐙庵(あぶみあん)つと無(佐々木勉)さん(1937〜2009)。昔、家は馬鍛冶だったという紫波町の「権三ほーる」で開かれた絵馬展2006年5月に買い求めたものだった。“紫波町日詰郡山駅”そのホールの住所から「パカポコ、パカポコ、トンテンカン、トンテンカン、紫波・暮れなずむ頃、蹄(ひづめ)の町は人と行李(こうり)の山になる」ダジャレのような詩が僕の頭の中に浮かんだ。

  後にも先にも、佐々木さんと出会ってお話をしたのは、あの時一度っきりしかなかったけれど、穏やかに、少しちゃめっ気のありそうな感じで、家庭の話をしてくれたっけ。そういえば昔、彼の友だった詩人の故・宮静枝さん(1910〜2006)が何かに書いていた彼とのエピソードが面白かった。

  ささべん「宮センセ!何だい、見ぬふりして!」宮センセ「すれ違い、先に声かけた方が負けよ!」ささべん「20歳ぐらいの美しい娘っこ3人来たと思ったら宮センセだったもんな!」宮センセ「やっぱり私の負けだった(私の年を3等分した)」と。

  「お金というものは受け取るとすぐお足になって飛んでいってしまう、ありゃ、おはねというべきだ!」そう言った勉さん。確かに彼の絵馬はハネて行くが、年の初めの正月、盛岡市神子田町の嶋岡商店ギャラリーで見た「鐙庵つと無」さんの作品展で、おハネにダク点つければバネになると思い、来年1月同店で僕は昨年出版した本「かつし」(横澤かつし詩、照井顕・書と写真)にちなんだ「“かつし”と“けん”のひつじ(筆事)展」を開かせてもらうことになりました!つとむさん、ありがとう。
(カフェジャズ開運橋のジョニー店主)


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