盛岡タイムス Web News 2015年  2月  2日 (月)

       

■  〈幸遊記〉照井顕211 大場冨生のジャズ版画


 「メモリーズ・オブ・ユー」というタイトルをつけた木版画のカレンダー・2015年度版を持参してくれた、版画家の大場富生さん(66)。1月の絵は11コマからなるマンガのような酒とバラの音楽シーンを盛り込んだ作品、これは81年の岩手芸術祭版画部門で奨励賞をもらった初出品作(以後連続出品)。10年後の91年に同祭大賞を受賞。

  初で思い出すのは、僕のただ一つの小説「瑠璃(るり)色の夜明け」の表紙に彼の作品を使わせてもらったこと。あれからすでに20年。年月の過ぎ去ることの早さに驚かされる。あの一冊で、僕は2013年に出版された「東北近代文学事典」に当選?して、名前が載った。ありがとう、おかげさま。03年穐吉敏子ジャズオーケストラの日本ツアーポスターもでした。

  大場富生さんの版画は一見して彼の作品と分かる印象深さがあることから、幾人もの方たちが彼に名刺を作ってもらっている人気ぶり。96年「賢治のトランク」(河出書房新社)、02年「夕焼けこやけでジャズが鳴る」(函館工藤)、13年「果てもない旅」(晶文社)と3冊の出版。そういえば、僕の店に飾ってある盛岡の観光ポスター(3部作)は、04年「日本都道府県観光ポスターコンクール」(国土交通省)で「金賞」を受賞したものでした。

  大場冨生(本名・富生)1949年、盛岡仁王新町生まれ。盛岡四高卒後上京。マンガ「空手バカ一代」のモデル大山倍達にあこがれ、当時はやってたキックボクサーになったが、網膜剥離により引退した。そこでボクサー一辺倒だったことに気がつき、師が言っていた「文武両道。絵を描いたりすることも大事だよ」の言葉を思い起こし「もう一つの格闘技」絵や版画を始めたのでした。「展示会場は四角いリング。ボクシングをやる気持ちで、これしかない!と、自分で自分を律して挑む。時には人格さえ変えて人前に出るのだ」とも。

  そんな彼の心の置きどころは音楽。47歳からトランペットを吹き、ギターを弾き語ってみて、その表現の深みにはまり猛練習。最近は個展会場でライブも行う「歌う作家」の異名を持つ。時折僕も彼にギターを持たせて店で歌ってもらうことがある。居合わせた人は、彼独特の、ちょっと黄昏た男の哀愁感が漂う版画のような音楽と歌に、皆魅せられてしまうのだ。
(カフェジャズ開運橋通のジョニー店主)


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