盛岡タイムス Web News 2015年  2月  14日 (土)

       

■ 〈体感思観〉 地域防災「つなぐ」責務  編集局 大崎真士


 
 日本各地で多くの犠牲者が出る自然災害が近年、顕著だ。東日本大震災のような地震・津波、御嶽山噴火はじめ火山、風水害、土砂災害、雪害など多種多様だ。災害は行政機関や防災機関の平時の対応、住民個々の心掛けで被害を最小限に食い止めることはできる。そのための学識者の努力も忘れてはいけない。

  入社した1998年当時、岩手山の火山活動が活発化した。後に判明したことだが、いつ噴火してもおかしくない切迫した状況だった。連日のように取材、報道が行われた。

  駆け出しの記者時代。火山観測情報をもらいに、自転車で盛岡市山王町にある盛岡地方気象台前の急な坂を駆け上がった。おつかい程度の仕事で「こんなことしかできないのか」と、悔しさがこみ上げたのを思い出す。

  取材経験を重ね、行政や専門家に顔を覚えてもらい、災害について勉強した。悔しさをバネに踏ん張った。その後の災害取材でどれだけ役に立ったか。

  あれから17年。県や市町村はじめ行政機関の担当者はとうに異動。現役を退いた方も少なくない。それは報道機関も同じだ。

  そんな中、現在でも精力的に研究や活動をし、自治体や国の機関にも、もの申す人たちがいる。元岩手大工学部教授の齋藤徳美放送大岩手学習センター所長と土井宣夫同大教育学部教授だ。

  齋藤先生は専門分野のスポークスマン的な立場で素人に分かりやすく現象を解説し、土井先生は専門の地質学の立場を踏まえながら火山や地震津波災害で識見を発揮する。ともに住民の命を守るため、地域防災について熱く語る。

  それぞれ火山や津波防災などの会議委員を務め、今も取材でお世話になる機会が多い。土井先生には先日、岩手山のマグマ上昇が高頻度で発生する説を取材させてもらった。

  「今、岩手山の火山活動の記事で、ここまで書けるのは他にいない」と、言葉を掛けていただいた。誇らしい気持ちとともに、他社にない定点観測を生かした取材ができる地域紙の強みと責任の重さが身に染みた。行政も専門家も報道機関も「次につなぐ」責務がある。


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