盛岡タイムス Web News 2015年  3月  10日 (火)

       

■  〈詩人のポスト〉「春の雨」 藤野なほ子


  

静かに細く 雨が降っている
足元まで雨にぬれて立っている木
長い間しみついた埃は
この雨で洗い流せるであろうか
落ち葉の間にたたみこまれていった
沢山の吐息
るいるいと積み重なり
しみになっている滓
せめぎあっている 落葉の眼

季節風が渦巻く
嵐となって通りぬける
大きく影をおとしていく時の流れの中に
地の底にむかって
したたりおちていく 雨の雫
街の中でたえず排気ガスを吸い
埃にまみれ
そこに 根を張って生きている
木々たち

煙る雨の中で
今は心なしか うす緑にかすんで
枝先きは空に消える



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