盛岡タイムス Web News 2015年  3月  14日 (土)

       

■ 〈体感思観〉相原礼以奈 絵心はだれのもの


 

 美術は深い。伝えることはなおさらだ。1年半ほど前に学芸担当を引き継ぎ、さまざまな美術に触れる中で、そう実感している。

  取材では展覧会場に足を運び、作品を見て、作者やグループの代表者などに話を聞く。記事には展示作品の説明が必須。ある展覧会場で重鎮の先生に「説明的なことでなく、あなたが見て感じたことを書いてほしい」と助言いただいたこともあり、もっと鑑賞力を養わねばと感じている。

  県立美術館で開催中の第4期常設展の特集「手のあと」は、そんな美術鑑賞力を磨くヒントを紹介する、新感覚の展覧会である。展示作の技法はさまざまだが、見る人に作者の手や体の動きを想像させる工夫がある。全身で描く作者の姿が目に浮かぶような作品もあれば、制作中の作者の気持ちが想像されるものも。企画展示室の「アートフェスタいわて2014」の鑑賞前に、常設展を見るのも楽しいと思う。

  アイーナ5階では、赤・青・黄の三原色と白だけで描いた水彩画の作品展が開かれている。4色の混色だけで描くには、描きたいものをよく観察して色を作ることが不可欠。環境学習交流センターの光さんは「時間をかけて少しずつ描いている。近くで見てもらいたい」と話す。緻密な筆使いからは、絵を描くことへの集中と喜びが伝わってくる。

  美術は深い。しかし作家の手だけで作品は完成しない。鑑賞者が個々の感性で見詰めることにより、作品は完成するのではないか。少しでも「あなたが主役」の美術体験の魅力を伝えられるよう、尽力したいと考えている。
 


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