盛岡タイムス Web News 2015年  3月  29日 (日)

       

■ 〈ジジからの絵手紙〉86 菅森幸一 卒業

     
   
     


 中学進学を控え母さんが自分の羽織りを仕立て直して学生服を作ってくれた。それは見事な茶褐色で完全に目だっていたが当時は新しい物を着ることすら困難で、恥ずかしいどころではなかった。めでたく卒業証書を頂いたが、今のB5判のコピー用箋よりも小さく紙質も実に粗悪なものだった。

  太平洋戦争がかなり敗色濃厚になった昭和18年国民学校入学。以来戦争の悲惨さと飢えと対峙(たいじ)しつつ3年生の時には敗戦を目の当たりにし、人間の生き方を180度方向転換しなければならない生活を味わってきた。何でもいいから腹いっぱい食べてみたい小学校6年間がこうして終わったのだ。

  入学から敗戦までの「戦時中の盛岡の子どもたち(既刊)」に続き「戦後の盛岡の子どもたち」の絵手紙もやっと卒業だ。日本国民がみんな貧乏でみんな飢えていた時代だった。もう二度とこんな時代がやってきてほしくない。今は生命の危機感も壮絶な飢えの恐怖も知らない人々が日本丸のかじを操っている。君たちもすぐ選挙権を行使する年齢になるが「しっかり勉強して」ジジたちがたどったトンデモナイ時代を繰り返さないようにしてほしいと願っているよ。
(おわり)


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