盛岡タイムス Web News 2015年  4月  3日 (金)

       

■  〈潮風宅配便〉244 草野悟 北へ帰る白鳥、南へ帰る友人


     
   
     

 三陸鉄道が中心となって進めている「三陸の普段着のご馳走」を各駅ごとに紹介する「駅−1グルメ」(えきいち)は、永代印刷さんが第1号から第7号まで担当してくれています。その担当は「畑瀬さん」といい、九州の佐賀県出身です。実家は佐賀県の小さな村でしたが、ダム湖に沈み集団で村を離れたそうです。そんな畑瀬さん、震災後はひっそりと休日を釜石などで復旧ボランティアに充てていました。自分からは何も言わないので、しばらくは誰もそのことを知りませんでした。畑瀬さん、子どもが3人の5人家族です。

  駅−1グルメは、県庁や三鉄の有志がボランティアで「その駅でおいしい料理を出してくれるお店」を探索して紹介する冊子です。震災で消滅した駅も、その駅の近くの仮設食堂などを紹介してきました。この駅−1をずっと担当してくれたのが畑瀬さんです。急に九州の実家に戻ることになりました。お母さんの体が弱り、そばにいないと不安、というのが理由です。親孝行なのです。

  盛岡を離れる最後の日、ささやかながら昼食会を開きました。大通にある「わか葉」の弟子1号が、子ども用の小さなおすしを握ってくれました。通常の三分の一くらいのかわいいすしです。長女の幸紀(ゆき)ちゃん、目を丸くして大喜びでした。下のお嬢ちゃんはまだ1歳未満で食べられません。幸紀ちゃん、この小さなすしを妹の分も取り返し全部食べました。「驚きです」と全部食べたことに喜んでいました。普段から食が細いと心配していたそうです。岩手の良い思い出となったようです。郷里に戻るとはいえ、岩手県から仲間が離れることは寂しい限りです。畑瀬さん、本当にありがとうございました。佐賀に行ってもきっと元気で頑張り、岩手の素晴らしさを伝えてくれると思います。感謝感謝。
(岩手県中核観光コーディネーター)


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