盛岡タイムス Web News 2015年  5月  3日 (日)

       

■  〈八幡平だより〉2 今川友美 茎が、あんまいんだー


         
   
         

 前回お話した「岩手山パノラマジョギング」で、きょうは思いがけないお土産をいただいた。

  すっかり春めいたあぜ道をシニアカーで散歩していた農家のSさんから「これ持ってけ」とビニール袋いっぱいのホウレンソウを手渡されたのだ。

  私の住むこの西根地区は、全国でも有数のホウレンソウの産地だ。うれしいけど、一人じゃとても…。

  と迷っていたところで「葉は捨てて、茎だけ食べるんだよ」とSさん。ホウレンソウって葉をメーンに食べるものじゃなかったの?え?え?

  するとSさん、意に介さず「冬の間、ハウスでほったらかしにして茎が伸びちゃった」と続ける。

  だから、なんで茎なの?え?え?え?え?

  しばらく方言が難しすぎて聞き取れなかったのだが、最後に「この茎がまた、あんまいんだー。うんまいんだー」と言っているのだけは、しっかりと聞き取れた。だって、本当に、甘くておいしそうな表情を浮かべていたから。

  家に帰ってフライパンで、ニンニク、塩、日本酒、あと冷蔵庫にあった豚細切れ肉を加えて炒めた。[写真]

  いただきます。感想は一言、うまい!かめばかむほど、おもしろいくらいに甘くなっていく不思議な感覚が、やみつきになる。おいひくておいひくて(食べながら言っているつもり)食べきれないなんて思っていたくせに、ものの1分ほどでぺろりと平らげている。そんな私の説明なんかはどうでもよくて、真実はSさんの「あんまいんだー」という一言に尽きるだろう。

  ホウレンソウとは幼なじみで、知らないことはないと思っていた。でも私は、君のこと、まだまだ知らないみたいだ。
  (八幡平市地域おこし協力隊員) 


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