盛岡タイムス Web News 2015年  5月 31日 (日)

       

■ 教訓伝えるシステムを 住民合意の仕組み周知を 復興未来塾 知事、釜石市長ら討論

     
  達増知事や野田市長らが登壇したパネルディスカッション  
  達増知事や野田市長らが登壇したパネルディスカッション
 


  いわて未来づくり機構主催の第1回いわて復興未来塾は30日、盛岡市内で開かれた。東日本大震災津波の復旧復興について釜石市の野田武則市長の講演ほか、達増知事らによるパネルディスカッションが行われた。被災者の生活再建とそのために必要な住民合意など、寄り添う復興まちづくりの在り方へ認識を深めた。県内外から大学生や県職員らを含む約150人が出席した。

 野田市長は講演で「よく復興の進ちょくについて尋ねられると、ゼロだと答えている。被災した約4千世帯の中には既に宅地造成で家を建てた人もいるが、仮設住宅に残っている方にとってはゼロのまま。ゼロの方がいる限り、ゼロ」と復興の現状を説いた。

  ディスカッションには達増知事と野田市長、立命館大の塩崎賢明教授が登壇した。

  野田市長はまちづくりに向けた住民との合意形成について「振り返れば反省ばかり。しかし、その反省を教訓に次の大災害に生かしてほしい。そのためのシステム化を図るべき」と主張した。特に、合意形成の仕組みを事前に住民へ知らせる重要性を強調した。

  釜石市では地権者連絡会議や12地域の復興まちづくり協議会など段階的に意思決定を図る組織がある。それらに欠席した住民から反対の声が上がり、決定したはずの事項の協議が振り出しに戻ったことがあった。

  このため「協議に欠席した方には個々にお便りを出して決まった内容を伝える。協議する場の開催も一人ひとりに案内する必要がある。住民からは税金の督促は個々に手紙を出すのに、大事なまちづくりを協議する場に案内を出さないなと怒られた」と話す。

  達増知事は「まちづくりのための住民合意は大事で、そこが復興の肝でもある。住民合意をベースにしたまちづくりで国の法律や制度が壁になれば、県から国へ要望してきた。県単独より被災県合同で行えば、よりパワフルになる」と説いた。

  塩崎教授は「生活再建は生業と住まいの確保について被災者の立場で考え、実現するのが基盤。関東大震災の復興は7年で完成した。中身はともかく活力があった。しかし阪神大震災後の日本はそうでなく、特別の知恵、工夫をしないといけない。どこまで持続的な発展になるかは今後次第だ」と述べた。

  未来塾は、達増知事が2013年12月から昨年まで約1年間開いた私塾「いわて復興塾」を同機構が引き継いだもの。年6回ほど開催され、次回は7月18日の予定。


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