盛岡タイムス Web News 2015年  6月 11日 (木)

       

■  安比のまきばに馬4頭 2年目の放牧実験開始 ふるさと倶楽部 芝草原復元を目指して


     
  安比高原「中のまきば」で元気に草をはむ南部馬を祖とする馬たち  
  安比高原「中のまきば」で元気に草をはむ南部馬を祖とする馬たち
 

 安比高原の自然環境を次世代につなぐ活動をしている、安比高原ふるさと倶楽部(関善次郎会長)は10日、八幡平市の安比高原「中のまきば」で実施している「馬による芝草原復元実験」を開始した。かつて放牧が行われていた美しい芝草原を、馬に草をはんで駆けてもらうことで取り戻そうという取り組み。2014年度にスタートし2年目になる。この日は、青森県で生まれた南部馬を祖とする農用馬など4頭が放され、レンゲツツジが咲く高原で草をはむ光景が見られた。

  4頭は、馬による林業を営む岩間敬さん(37)=遠野市松崎町=所有の1歳馬の雄。14年5月に青森県の尻屋地区で生まれ、同11月から岩間さんが世話をしてきた。木曽馬1頭を除く3頭は南部馬を祖とし、外来種との交配によって改良されてきた馬。寒さに強く粗食に耐えるといわれる。

  前日9日に安比高原に到着した馬は、関会長や同まきばの草刈りなどに取り組むボランティア会員が見守る中、元気に牧柵の中へ。人間でいうと10歳ごろという4頭。ひとしきり駆け回ったあと、色鮮やかなレンゲツツジの脇で草を食べ始めた。

  「中のまきば」の藪(やぶ)化の一因となっていたササやヨモギも食べるがレンゲツツジは食べないため、放牧地らしいレンゲツツジが咲く芝草原の風景は維持される。

  協力した岩間さんは「草を食べた馬が蓄力(ちくりょく)を生かして働き、地域を作るということが以前は行われていた。こういった取り組みが実践できる場があり、それを支える人がいることは貴重」と期待する。

  立ち会った県立大総合政策学部環境政策講座の渋谷晃太郎教授は「生態系を維持するために馬が役に立ち、それによって人が喜ぶという新しい取り組み。時間はかかるが先を見据え、息の長い活動にしてほしい」と話す。

  「中のまきば」は、同じ高原にある「奥のまきば」を含めて広大な牧草地を形成していた。60年代後半から放牧が減ってからはササや低木が浸入し、馬と人が作った美しい風景が失われつつあった。

  10年ほど前から地元の有志らがボランティアで草刈り、下刈り作業を続けてきたが、限られた人の手だけでは限界も。国有地である同まきばでの「芝草原復元実験許可」を得、14年6月に初めて馬を放し、芝草の育ち具合などを調査した。

  安比高原ふるさと倶楽部の関会長は「市外からも活動に関心を持ってくれる人が増え、活動の広がりを感じる。例年よりもレンゲツツジが美しく咲き、少しずつ成果が表れてきたと感じる。新たな馬たちには、ここ(安比高原)が自分の場所という気持ちで早くなじんでほしい」と目を細めていた。

  同会会員(ボランティア)でペンション経営の三澤よし子さん(64)は「地道に活動を続けてきたが、この美しい風景を見ると心が癒やされ、大きな可能性を感じる」と笑顔で話していた。

  馬は10月中旬ごろまで同牧場に放され、その後、芝草の状態などを調査する。

  同会は、趣旨に賛同する人なら誰でも参加できる。

  問い合わせは、イーハトーヴォ安比高原自然学校内、斎藤さん(電話0195-73-6228)まで。


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