盛岡タイムス Web News 2015年  6月 16日 (火)

       

■  年齢や障害種別超えて 「富山型デイサービス」実践 「きさいや」がみたけに開所


     
   富山型デイサービスを実践する「きさいや」。代表の末廣光揮さん(左から4人目)。家庭的な雰囲気で、その人らしい生活を支える  
   富山型デイサービスを実践する「きさいや」。代表の末廣光揮さん(左から4人目)。家庭的な雰囲気で、その人らしい生活を支える
 

 全国的に注目される「富山型デイサービス」を実践するデイサービス「きさいや」(末廣光揮代表)が、この4月、盛岡市みたけ6の11の40に開所した。「富山型」は、赤ちゃんから高齢者まで、障害の有無にかかわらず、一緒に身近な地域でデイサービスを提供する新しい形の福祉サービス。幅広い年代の関わりの中で、その人らしい自然な生活が送れるようサポートする。

  「サッコラ、チョイワ、ヤッセ」―。5月28日、中古住宅を改装した「きさいや」の居間では、通所する利用者3人とスタッフ2人が、楽しげに、さんさ踊りを踊っていた。先生は利用者の一人で、21歳のはるなさん(仮名)。踊り方は特別支援学校で覚えたという。「笑顔がいいねえ」。80代の他の利用者2人も、孫のような、はるなさんに、優しいまなざしを向ける。

  きさいやは定員10人。現在は高齢者2人と心身に障害のある2人が通所している。制度上は通所介護(介護保険法の高齢者デイサービス)、生活介護(障がい者総合支援法の障がい者デイサービス)、乳幼児の一時預かり(児童福祉法の認可外保育)の3事業を一つの場所で展開していることになる。

  代表の末廣さん(29)は愛媛県宇和島市の出身。岩手県立大で学び、介護福祉士や社会福祉士の資格を持つ。大学卒業後、盛岡市内の高齢者施設の介護職員や相談員としてキャリアを積み、2013年に富山型デイサービス起業家育成講座を受講。14年6月、きさいやの運営母体となるRashiku株式会社を起業した。「きさいや」は宇和島地方の方言で「来てください!お越しください!」という意味だ。

  学生時代の高齢者施設での実習は貴重な体験だった。認知症で、なかなか薬を飲んでくれない高齢者が、地域で長年、慕われてきた院長先生の手にかかると素直に飲む。介護の現場で問われるのは「人間力」。大学卒業後、実際に高齢者やその家族と向き合いながら、その人らしさが生かされる支援とは、どうあるべきか、深く考えるようになった。

  大規模施設では、スタッフが心を尽くしても、利用者個々の性格や趣味嗜好(しこう)に合わせたサービスには限界がある。人間関係も、その人の「自分らしさ」を形作る大事な要素だが、高齢者ばかりが集まる空間は、自然な社会とは言えない。学生の頃、学んだ富山型デイサービスを思い出し、現地で研修。岩手での実践を決意した。

  「きょうのお昼はどうする?」。きさいやでは、献立を相談して、みんなで買い物に行き、料理が得意な利用者には腕を振るってもらう。できる範囲で掃除も手伝ってもらうなど、それぞれが力を発揮しながら、家庭のように自然体で過ごす雰囲気を大事にしている。

  「小さい子どもや若い人がいるからこそ、高齢者もシャキッとする」と末廣さん。「子どものパワー、お年寄りの温かさ、それぞれの頑張る姿や笑顔、人と人の中にいてこそ、その人らしさは保たれる。地域の人に信頼され、子どもからお年寄りまで気軽に立ち寄れる場を作りたい」と張り切る。

  児童発達支援相談員の資格取得に向けて勉強中。将来的には、障害を持つ子どものための「放課後等デイサービス」などにも取り組む予定だ。

  きさいやのサービス提供時間は原則として平日の午前8時半から午後8時半まで。時間延長なども相談に応じている。一緒に活動するボランティアも募集中。問い合わせは電話019―656―8172へ。
      (馬場恵)


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