盛岡タイムス Web News 2015年  6月 29日 (月)

       

■  〈幸遊記〉233 照井顕 アサヒカメラの南部馬の里


 この欄「幸遊記」の第113回(2013年3月4日付)で紹介した遠藤広隆さん(37歳・ブライダル写真家)、彼は幼い頃から親しんできた馬たちをテーマに見据え日本写真芸術専門学校入学時から、自然に写してきた南部馬のネガフィルム(36枚撮り)は、間もなく1千本に達するという。そのかいあって今年2015年、写真集「南部馬の里」が岩手復興書店から発売された。それを機に、開運橋のジョニー15周年記念に開設した店内ギャラリーの第2回展として、彼の写真展「丸泉寺牧野」(岩手町の馬)を昨日(6月28日)まで1カ月間開催した。

  馬好き高じて“馬のそばで暮らしたい”と東京から最近、盛岡に引っ越してきたという方のお話を聞かせていただいたことも貴重でした。最もうれしかったのは今月発売7月号「アサヒカメラ」誌に6nにわたり、7枚の写真「南部馬の里」というタイトルで遠藤広隆さんの特集が組まれたことである。「農耕馬としては役割を終えた南部馬」と題す彼の文章も添えられていて「最近ではフィルムでの写真はやりづらい。それを考えると、フィルムや印画紙が減っていくのも、馬が減っていくのも同じだなと思う。馬たちが私の中で同調している」と。

  写真展開催中の第2土曜日「五月柳の北上川へ鈴コチャグチャグ音響く」。ベランダから開運橋を眺めれば、渡り来る無形民族文化財・チャグチャグ馬コの行列。カメラ(フィルム用)を持って店を飛び出す僕。南部馬の立派な体格に圧倒されながら、目を馬の背に乗って手を振るかわいい幼子に移せば、とっさに浮かぶは「去年祭りに見染(初)めて染めて、今年や背中の子と踊る」の一節。80数頭の馬に見とれてる間には、頭の中ではビクター少年民謡会や井上一子、菅原やす子、古館千枝、佐藤みどり、坂下誓子、菊池マセ、高八掛智恵子ら、レコードに吹き込んだ1960年代から80年代までの民謡歌手たちによる歌の競演。はたまた、チャング、チャングと創然な歌のように、また、蒼前とした神のように鳴り響く民謡の歌声。

  かつては農耕馬の休息日と無病息災を祈願する素朴な民族行事だったようですが、今ではそのチャグチャグの日だけが年に一度の大仕事になってしまった馬たち、ごくろうさま!ありがとう。
(カフェジャズ開運橋のジョニー店主)


本ページ掲載内容の無断転載を禁じます
ホームページに関するお問い合わせ、取材に関する情報は
E-Mail:hensyuu@morioka-times.com
盛岡タイムス宛てにお願いします