盛岡タイムス Web News 2015年  7月 6日 (月)

       

■  〈幸遊記〉234 「浅香満のジャズピアニスト里恵」


 「6月定年なんだよね。だけど、今、出向先の会社でもう少しいてくれっていうから、もう半年いることになってさ」と金沢から時折帰って来ては僕の店に寄ってくれる浅香満さん。その半年という言葉の裏側には、これまで金沢で探し楽しんで来たジャズの店を、もう少し深く味わいたいのだろうなと僕には感じられた。何せ彼は盛岡に帰って来るたび、僕に金沢のジャズの楽しさを教えてくれてきたし、盛岡の友を金沢まで連れて行き一緒にジャズを楽しんだりもして来た程の根っからのジャズファンなのだ。こういうジャズファンを僕は一番に尊敬してしまう。

  そんな彼がある夜、初めてリクエストしたのは、ジョン・コルトレーン(1926〜67よの「至上の愛」だった。テナー・サックス、ソプラノ・サックス奏者のジョンが、何とラブ・スプリーム、ラブ・スプリームと自ら歌っているレコードであり彼の頂点となった作品。「僕にとってコルトレーンは神様だった。彼がいたからジャズが好きになったのよ」ジョニードラム(バーボンウイスキー)を美味しそうに飲みながらそう僕に言った彼。

  「自分の娘・里恵(昭和62年生まれ)が3歳になった時ヤマハに連れてってさ、ピアノを習わせたの。そしたら、歌ったり、踊ったり、喜んでさ、俺が毎週送って終るまで待っている時、聴こえてくる話や音が、自分の勉強にもなったのよ」と笑った顔も最高だった。その娘さんが中学生の頃、家では自分の妹、弟、そして親たちにまで何かの音を出させて、それを聴き分けピアノの音で再現する絶対音階遊びをしていたという。

  「ジョニーに聴いてもらいたくてさ!ユーチューブからの音源だけど」と一枚のCDRを浅香さんから渡されたのは2012年の2月だった。それは「Tifon」という浅香さんの娘、里恵さんのピアノと竹中志穂さん(フルート)の二重奏ライブ。その12曲中4曲は里恵さんの作曲。すばらしい能力を持った娘であることに驚き感激しうれしくなって生演奏を聴き、昨14年の第8回あづまね山麓オータムジャズ祭に彼女のトリオで出演してもらったら、聴衆を大興奮させる圧倒的な演奏を繰り広げ、デビューCDが売り切れたのでした。
(カフェジャズ開運橋のジョニー店主)


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