盛岡タイムス Web News 2015年  7月 7日 (火)

       

■  〈イタリアンチロルの昼下がり〉及川彩子 230話 サクランボとアンズ


     
   
     

 6月から7月、初夏の市場を巡ると、どの店先でも、色とりどりの果物に目を奪われます。「夏は果物のためにあり」と言っても過言ではなく、みんな大量に買い求めます。

  ここアジアゴ高原からベネチア近郊が大産地のサクランボとアンズ[写真]、またさまざまな種類のメロン、イチジク、桃、巨大な瓜状のスイカなど、形や見た目など気にせず、`単位で袋に放り込む店のおじさんたち。値段も安く、サクランボは1`1ユーロ(約135円)ほど。

  日本では、果物は、高級感さえ漂いますが、イタリアでは、野菜同様、日常食材のひとつ。特に、食欲の減退する夏など、肉料理やチーズにフルーツのシロップ、メロンはハムで包み、イチジクはソテーにしてサラミを添え、ワインには、桃などのざく切りをたっぷり入れて、食卓を盛り上げます。

  中でも、この時期に欠かせないのがサクランボと黄金色に熟れたアンズ。どちらも肉厚でかみごたえがあり、しかもジューシー。双方ともイタリアの生産量は世界第4位です。

  古くから「天国の果物」と言われ、「エデンの園」の象徴とされてきたサクランボは、宗教画「最後の晩餐」のテーブルにも、パンやワインとともに描かれ、歴史的にもイタリア人の生活に寄り添ってきたのでした。

  アンズも、一日に何個も気軽に食べられる果物の筆頭格。近年、黄桃とアンズを掛け合わせた「ペルコーカ」という新種もお目見えし、桃の上品な水分とアンズの濃い甘みを兼ね備えていると、人気を呼んでいます。

  また、アンズの種の核を利用した焼き菓子「アマレット」は、近郊の街ビチンザ名物として世界的に知られています。先日、近所の友人宅で、それを砕いて振りかけた、夏の冷パスタをごちそうになり大感激でした。

  食文化をテーマにした、ミラノ・エキスポで大にぎわいの今夏のイタリア。旬の果物を心おきなく盛り込んだ夏の食卓こそ、色も造形も味も三つどもえでアピールできそうです。
 


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