盛岡タイムス Web News 2015年  8月 6日 (木)

       

■  独居高齢者に安全提供 見守りと生活支援サービス 盛岡市東松園1丁目周辺 県大研究室との共同研究事業化 まごのてが9月から


     
   「おうちでまごのて」の展開に意欲を燃やす小川教授、久保社長、プロネッツの島倉農常務、口石好輝マネージャー(左から)  
   「おうちでまごのて」の展開に意欲を燃やす小川教授、久保社長、プロネッツの島倉農常務、口石好輝マネージャー(左から)
 

 有料老人ホームや介護タクシーなどを展開する有限会社まごのて(本社・盛岡市東松園、久保忍社長)は、県立大社会福祉学部の小川晃子教授らとの共同研究の成果を生かし、独居高齢者らの見守りと生活支援サービスを提供する「おうちでまごのて」を、同市東松園1丁目周辺を対象に9月から事業化する。ICTを活用し、民間事業者が主体となって高齢者の暮らしの安全を支える先進的な取り組み。地域包括ケアシステムの一翼を担うビジネスモデルとしても注目を集めそうだ。

  「おうちでまごのて」は、小川研究室が長年、研究に取り組む「おげんき発信」の仕組みを活用。県立大との共同研究に実績のあるソフトウエア開発企業プロフェッショナル・ネットワークス(略称プロネッツ、本社・東京都、島倉峰雄社長)がシステム開発に協力した。

  単身、夫婦のみの高齢者世帯を会員とし、まごのてから、タブレット(小型パソコン端末)やスマートフォンを貸与。会員の高齢者は毎日、その日の体調を、タブレットの画面に表示される「げんき」「ふつう」「わるい」のボタンを押して、まごのての管理システムに発信する。

  画面には「注文」や「相談」のボタンもあり、弁当の宅配や洗濯、買い物といった生活支援を依頼したり、困り事を電話で相談したりすることも可能。タブレットには、地域の行事などのお知らせも届く。

  一方、まごのての職員は毎日、「おげんき発信」の状況を確認。弁当や洗濯物を自宅に届ける際にも高齢者の様子を観察し、管理システムに入力する。見守り情報は、クラウドサービスを通して、離れて住む家族らにも届く。高齢者に異変があれば、まごのての職員が、遠くに住む家族に代わって駆け付ける仕組みで、離れていても安心して見守れる環境を目指した。

  月額サービス利用料は「おげんき発信」などのITサービスに、週2回の弁当配達サービスが付いたプランで8千円から。病院への付き添い、草取りといった有料のオプションサービスもある。

  東松園1丁目は、急激な宅地開発のあと、子どもが巣立ち、シルバー世代が増加した住宅団地。257世帯のうち約半数が、高齢の夫婦または独居世帯でニーズは高いとみる。サービス対象エリアは順次拡大予定。

  久保社長(42)は「民間の福祉事業者だからこそ柔軟に対応できる。一人暮らしであっても、住み慣れた地域で安心して過ごせるよう力になりたい」と意欲を燃やしていた。

  ICTを活用した高齢者の見守りサービスは多くの前例があるが、▽高齢者の安否は確認できても、すぐに駆け付けられる人的ネットワークがない▽情報機器の使い方の指導が不十分で、途中から使われなくなる│といった課題も指摘されてきた。意欲的な事業でも、研究費や助成金頼みでは、持続性に欠け、見守りの仕組みとして地域に定着しない。

  小川教授は「『おうちでまごのて』は地域包括ケアシステムを築く上で課題になっている、高齢者への生活支援サービスを完全な民間ビジネスとして取り組む。これが無理なく定着すれば、高齢者がサービスを利用しながら、住み慣れた地域で生活するモデルになり得る」と期待する。

  問い合わせは、まごのて(電話019─613─4605)へ。


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