盛岡タイムス Web News 2015年  8月 6日 (木)

       

■  〈風の筆〉112 沢村澄子 暗門の滝


     
   第三の滝を見下ろしながら斜面を登り、第二の滝を目指す  
   第三の滝を見下ろしながら斜面を登り、第二の滝を目指す
 

 屋久島、熊野古道を歩けば次は白神山地でしょう、とばかり行ってきた。が、今回は時間がなく、暗門の滝の散策路をほんの少し。

  白神山地の中でも一番の観光スポットといわれているらしい暗門の滝は三つあり、散策路の手前から、落差26bの第三の滝、同37bの第二の滝、同42bの第一の滝。駐車場からブナ林を通って、渓流沿いに滝を三つ訪ねても5・6`、所要時間約2・5時間で戻るというから、構えることなく歩き始めることができる。渓流沿いの道も他では中々見られないであろう景観で、7月30日にして脇にまだ雪も残っていた。

  平日だからか行き交う人はまばらで、その6〜7割が中国人である。日、中、共に家族連れが目立つのは夏休みのせいだろうか。子どもたちが酷な暑さをもろともせず、急な斜面を駆け上がる姿に、元気をもらう。

  ブナ林で有名な白神山地だが、このルートではやはり滝が主役だ。少しずつ登り進めれば、滝をその上から見下ろせるのも面白い。

  しかし、他では見られないのではと思ったその特異な景観とは、渓流沿いに整備された遊歩道のことである。何と、工事現場でよく見るパイプ、足場で構築されている。それでも、自然の景観とガップリ四つに組んで、まるで現代美術の作品のよう。おかげで、2時間歩きましたといっても、そんなこんなが気になるうち、知らない間に着いてしまうから、疲れ知らず。強烈な暑さを除けば、ただただ楽しい散策だった。

  しかし、自然の中を歩いてる、って感じがしないのである。ディズニーランドのアトラクションで冒険?している感じに近い。わたしの感想としては。とても面白くて、上りも苦にならず、単純に楽しくて。

     
   暗門の滝散策路の渓流沿いの道は工事現場のごとく  
   暗門の滝散策路の渓流沿いの道は工事現場のごとく
 


  それで何が悪い、って、悪いはずはないのだが、熊野古道のあの苦さを経験した後だと、これでいいのかな?と、どこか不安になるから不思議だ。何か物足りない。なぜかそう思われて仕方ないから、困った。

  それでも、水もとてもキレイで、岩も面白いのがゴロゴロしてるし、花もかれんなリンドウなどつつましく咲いていて、いい散策路だと思った。50代、60代くらいの女性だけのグループも談笑しながら歩いていたし、まだ初々しいカップルも、デートらしい軽装で滝をバックに記念撮影していた。

  第二の滝が女性的だと感じたのはなぜだろう。第三の滝に一番心惹かれたのはどうして。第一の滝は、近くで見るよりちょっと離れたところから見る方が魅力的に映る、のが不思議。

  滝のすごさはやはり、圧倒的なあの動的エネルギーのことだ。動くこと。動き続けること。それを束にすること。黙ってただ流れ続けること。そして散じてゆくこと。彼らのその営みがまぶしかった。
     (盛岡市、書家)


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