盛岡タイムス Web News 2015年  8月 31日 (月)

       

■  日本政策金融公庫 漆「純国産」へ財務支援 浄法寺漆産業(盛岡市) 県内初の資本性ローン適用


     
   県内で初めて資本性ローンが適用された浄法寺漆産業の松沢卓生社長  
   県内で初めて資本性ローンが適用された浄法寺漆産業の松沢卓生社長  

 二戸市浄法寺地区産の漆、漆器販売の浄法寺漆産業(松沢卓生社長、盛岡市本町通)に24日、県内で初めて挑戦支援資本強化特例制度(資本性ローン)が適用された。日本政策金融公庫が2008年4月に開始した同制度。新事業に取り組む小規模事業者と中小企業を対象に、資本性資金を供給し財務体質の強化を援助する。

  同制度の融資による債務は、金融検査上で自己資本とみなす。法的倒産手続き時には他の債務より支払いが劣後する。対外信用力向上や、資金繰りの安定などが期待できる。期限一括償還で5年1カ月〜15年の返済猶予期間があり、業績に応じた金利となる。同社は漆の手堅い需要を見込み申請を決めたという。

  同社の主な事業は、同地区の漆の精製販売。今回の制度で漆原液精製用の機械を購入し、販路拡大に努める。

  同社が適用を受けた背景には、文化庁が2月、各都道府県教委に通知した国産漆使用拡大の方針にある。これまで、国宝や重要文化財の建造物の保存修理に使う漆は、コスト高などにより国産3割、中国産7割だった。保存修理時は漆を7回ほど重ね塗りするが、通知によると17年度までに上塗りと中塗りを国産化。18年度以降は下地まですべて国産に切り替える。

  同地区の漆の採取料は年間約1d、国産漆の7割を占める。保存修理に使用する漆は年間約2dのため、同通知により需要の高まりが予想される。実際、通知直後に注文が殺到し在庫切れになったという。松沢社長は「国産に対する消費者の信頼の高まりを感じる」と分析する。

  松沢社長は09年に起業するまで、県職員として同地区の漆産業振興に努めていた。「国産漆で日本文化を作り上げてほしい」と起業。今までは漆原液の仕入れ後、県工業技術センターで精製し商品化させていた。松沢さんは「企業7年にして自前の機械を購入できる」と感慨深げだ。

  漆の供給林は15年育たせ、漆を搾取したあと伐採する。約5カ月かけ1本の木から約200c収穫できる。伐採数は同地区だけで7〜8千本。同社では漆同c税込み1万5750円で販売中だ。

  松沢社長は「漆製品は高いと思われがちだが、材料費や労力から換算すると採算は取れない。通知によって国産漆の需要が伸び、漆用の植林が増えて漆掻き職人たちの安定収入につながれば」と望む。

  同社は、わんこ兄弟のお椀(わん)や、漆と山口県の萩ガラスを組み合わせた「ウルシトグラス」を企画販売するなど、漆製品の多様化にも積極的だ。

  同公庫盛岡支店は「同ローンを有効活用した長期的な成長を願う」と期待を込める。

 


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