盛岡タイムス Web News 2016年  6月 1日 (水)

       

■  岩手医大 認知症の原因を究明 全国8地域のコホートで 矢巾町と協定


     
  協定を締結し、握手する高橋町長と寺山教授(左から)  
  協定を締結し、握手する高橋町長と寺山教授(左から)
 

 岩手医科大学は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の認知症研究開発事業として行われる研究に参加し、矢巾町民を対象に認知症の原因究明へ向けた研究に乗り出す。対象地域を指定し定期的、長期間にわたり追跡調査を行うもので、全国8地域で地元大学による調査研究が順次進められる。5月31日、同町役場で同研究に係る「やはば脳とからだのいきいき健診事業(岩手県矢巾町認知症コホート研究)」の協定締結式が行われ、高橋昌造町長、同大医学部の寺山靖夫教授が協定書に調印した。秋ごろに調査を開始する。

  コホート研究は特定の集団を一定期間調査し、健康状態と生活環境などの関連を調査するもの。今回の事業では今後、対象地域を決め、65歳以上の町民2千人程度を選定する。調査内容は主に▽記憶力等の認知症機能検査と専門医による診察▽生活習慣のチェックを含めた健康診査―の二つ。

  具体的には対象者の食事、嗜好品など日常生活や運動の習慣などを確認する。定期的、長期間にわたる調査で、習慣や生活環境の違いなどが認知症の発症に与える影響などを研究する。研究の中で、認知症の診断を受けた患者に対しては、治療やケアも合わせて行う。

  AMEDの事業としては5年間。その中で単年度報告、最終報告はまとめるが、同大としては5年を助走期間として、その後も期限を設けずに継続的な研究を実施する予定。今秋の調査開始に向けて今後、町内での地域説明会を開催しながら、対象地域を決めていく。

  寺山教授は「日本の認知症患者はどんどん増えており、決定的な治療薬もない状況。矢巾町の人口構成は国の構成に近いものがあり、日本のモデル地区にもなりうる」と同町での研究の意義を述べた。

  高橋町長は「今回の事業を通して、認知症、障害の有無にかかわらず、誰もが住みよいまちづくりを目指していきたい」と研究事業に期待した。

  認知症コホート研究は、福岡県久山町で九州大が1961年から先駆けとして開始。その後、より大規模で高精度な研究実施への機運が高まり、2015年度に九州大を事務局とする「健康長寿社会の実現を目指した大規模認知症コホート研究」が創設。初年度は調査地域の選定や調査方法の検討を行い、実際の調査を今年度から開始する。

  久山町、矢巾町のほか青森県弘前市(弘前大)、東京都荒川区(慶応義塾大)、石川県中島町(金沢大)、鳥取県海士町(鳥取大)、愛媛県中山町(愛媛大)熊本県荒尾市(熊本大)で行われる。


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