盛岡タイムス Web News 2016年  6月 11日 (土)

       

■  〈体感思観〉編集局 相原礼以奈 響き合う創造の可能性


 この春は、盛岡ゆかりの作り手を取材する機会に恵まれた。

  まず、第69回日本推理作家協会賞を受賞した小説家・柚月裕子さん(釜石市出身)のインタビュー。盛岡市で過ごした小学校時代から本が好きという柚月さんに、最近のお気に入りを尋ねてみた。柚月さんは少し悩んで、「最近は資料本が多い。思えばあまり好きな本は読んでいないかも。お風呂では短編集を読んだりする」とのこと。その流れで、好んで見たというアニメの話にもなり「プロの仕事には触発される。心の琴線に触れるものがあるとモチベーションも上がる」と話してくれた。

  盛岡市内丸のシグアートギャラリーでは、5月末まで盛岡市出身のアニメーション作家・小野ハナさんの個展が行われた。小野さんはアニメ制作記録の冊子も作って販売したが、その理由を「個人でアニメを作っている人の作り方は知る機会がない。他の人の(手法)を見たいから、自分のをまず出す」と話す。制作記録にはストーリーのできた経緯から作画、声優に声を入れてもらう作業まで詳細に記されている。同業者ならずとも、作品の舞台裏が見られる興味深い資料と感じた。

  魅力的な作品は、作者自身の他媒体への関心も手伝って作られている。いい仕事が循環していくような仕組みに、なんだか可能性の広がりを感じた。そして仕事同士が引き起こすポジティブな相互作用は、決してものを作る人だけのものではない。地元ゆかりのプロの仕事が、今度は私たちの生活を活気づける刺激になる。地元を盛り上げる作り手の活躍に、これからも注目していきたい。


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