盛岡タイムス Web News 2016年  6月 14日 (火)

       

■  〈イタリアンチロルの昼下がり〉253 及川彩子 メレンゲの誘惑


     
   
     

 誕生日やクリスマスなどで集う時とは別に、仕事に疲れた時、あるいは短い休憩時間に、一かけ口に放り込みたくなるのがメレンゲ菓子。ケーキやチョコレートより軽く、サクサクした歯触りと、一瞬で溶けるその甘さは程良く、疲れもすうっと吹き飛ぶようです。

  ジェラートやティラミスなど、イタリアのドルチェ(菓子)が持てはやされる昨今ですが、いまだ日本ではなじみの薄いメレンゲは、どの家庭の戸棚にもあるおやつの定番。街角の菓子店のウインドーに並ぶ真っ白で艶やか、なメレンゲは、まるで陶器のようです。

  卵白を泡立て、グラニュー糖を加え、オーブンで焼き上げるだけのシンプルな菓子ですが、砂糖を入れるタイミングなどによって、しっかりした食べ応え、あるいは軽い気泡のような仕上がりにもなり、お好み次第。豪快に焼き上げて砕きながら食べるタイプや、球状にチョコを挟んだもの[写真]、イチゴ、ピスタチオ、レモンなど味もさまざまです。

  イタリアの砂糖は、料理にもコーヒーにもグラニュー糖。しっとりとした日本の上白糖はなく、時折娘たちにお汁粉をせがまれ、小豆を煮る際にも、洋菓子気分でザーッとグラニュー糖を入れるのですが、このグラニュー糖が、メレンゲの光沢を引き出すのだとか。

  けれども、どんなにおいしくとも糖分の取り過ぎが気になるところ。先頃、イタリアの中央新聞で、糖尿病患者が増加中とのニュースが報道されました。アメリカナイズされたファストフードの台頭が主な要因で、自国が誇るスローフードの見直しが図られているのです。

  糖分吸収を緩和すると言われる固ゆでのパスタ、余分な油脂を洗い流すオリーブ油をたっぷり使った肉料理に赤ワイン。ゆっくり食べて、ゆっくり味わう…そして仕上げのドルチェには、バターなどを一切使わない、シンプルなメレンゲの一かけ。

  放り込むたび、懐かしいカルメ焼きが目に浮かびます。


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