盛岡タイムス Web News 2016年  6月 18日 (土)

       

■ 〈体感思観〉 編集局 山下浩平 クマに遭遇する心構え


 
 5日、矢巾町のシンボルである南昌山が約3年ぶりの山開きを迎えた。4月に登山道を兼ねた町道の災害復旧を終え、再び登山が可能となった。記者も一般の参加者に混じり、時折写真を撮りながら登頂した。5合目からは木道が整備されているが傾斜がきつく、大して息は切らさなかったものの、2日ほど筋肉痛に悩まされたのは言うまでもない。

  8合目から9合目に向かう途中だったと記憶しているが、前を登る集団が急に足を止めた。同時にざわついてもいたので、周囲を見渡すと、木に登っているクマがおり、まだ子どものようだった。無意識にシャッターを切っていると、その間に集団の中の男性が声を上げて威嚇(いかく)。驚いた様子のクマは急いで木を降りて逃げていった。

  思い返してみると、集団の中にいて良かった。近くには親グマがいたかもしれないし、襲われていた可能性もあっただろう。無事に登り終えたので「貴重な写真を撮れて良かった」という思いに浸れたが、場合によっては「写真なんて撮っている場合じゃなかった」と後悔していたかもしれない。単独で登っていたら、おそらく対処できなかった。

  山中でのクマの目撃はよくあることかもしれないが、最近では人里まで下り、市街地近くで目撃されることも珍しくない。ここ数年、人的被害も相次いで発生しており、注意喚起や警戒情報も毎年のように出されている。

  里山に近い地域なら、日中の目撃もあるだろうが、市街地周辺ではほとんどが早朝か日没後に集中しているようだ。そういった時間帯は日課の散歩やジョギングなど、単独で行動する人も多いのではないだろうか。

  仮に住宅地近くでクマに遭遇したら、写真なんか撮っている場合ではない。今年もクマ出没が相次いでいることから、注意喚起が出されている。取材中に遭遇する確率もゼロではなく、備えは万全にすべきと、登山中のハプニングに教えられた気がした。


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