盛岡タイムス Web News 2016年  6月 29日 (水)

       

■  児童施設退所者ら支援 盛岡市の福祉3法人連携 いわての若者くらし仕事支援機構 チーム!わかくら発足


     
  若者の支援について話し合うアースメイトの吉田光晴代表理事、くらしのサポーターズの吉田直美事務局長、いわてパノラマ福祉館の高舘美保子理事長(左から)  
  若者の支援について話し合うアースメイトの吉田光晴代表理事、くらしのサポーターズの吉田直美事務局長、いわてパノラマ福祉館の高舘美保子理事長(左から)  

 盛岡を拠点に生活困窮者支援や就労支援などに取り組む、NPO法人くらしのサポーターズ(松本良啓理事長)、NPO法人いわてパノラマ福祉館(高舘美保子理事長)、一般社団法人アースメイト(吉田光晴代表理事)の3者が連携し、児童養護施設を退所した若者や学校中退後、行き場を失った若者らを支える「いわての若者くらし仕事支援機構(愛称・チーム!わかくら)」を立ち上げた。若者の相談に乗り、住まいや就労訓練の場を提供するなど本人の自立を支援。こうした若者の支援体制の充実や背景にある社会的課題の改善にも結び付けていく。(馬場恵)

  保護者がいなかったり、虐待を受けたりした子どもを受け入れる児童養護施設などの保護対象年齢は原則として18歳まで。本県の場合、施設で養護されていた子どものうち、約8割は高校卒業と同時に社会に出るが、社会的スキルが未熟だったり、発達や精神の障害を抱えていたりして離職し、離職と同時に住まいも失うケースが少なくない。施設を利用していなくとも、家庭環境が複雑で十分な養育を受けておらず、社会の中で孤立している若者も相当数いるとみられている。

  県社会福祉協議会児童福祉施設協議会が2月に発表した調査では、2008〜14年度に県内の児童福祉施設を退所し就職した若者は116人(調査協力施設のみの数)。このうち転職・退職者は少なくとも51人に上る。施設退所者や困難な課題を抱えた若者の相談支援拠点の必要性を指摘する声が以前からあり、3法人がそれぞれの活動の特徴を生かして、課題に向き合うことにした。

  柱となるのは@生活相談支援事業A就業支援事業B交流・住居支援事業―。あすからのくらし相談室・盛岡を運営し、生活困窮者らのパーソナルサポートに取り組む、くらしのサポーターズが相談事業を担当。親代わりになって若者の声を聞き、必要な支援制度や支援機関と結び付ける。障害者の就労支援などに取り組む、いわてパノラマ福祉館が就労訓練や就職活動を支援する。

  就労継続支援福祉事業所を開設しているアースメイトは、同市松尾町のアパートを活用し、障害者総合支援法に基づくグループホーム(定員5人)を開設。食事付き、低料金で暮らせる居場所を提供し、若者同士の交流や自助グループの育成を促す。

  各事業の利用は居所の提供以外無料。当面の経費は各団体が負担する。将来的には県や市と連携し、国の補助事業「退所児童等アフターケア事業」などの導入を検討していく。

  くらしのサポーターズの吉田直美事務局長は、ここ1年だけでも、困窮し住む場所もない10代の相談を複数件扱った。「社会的養護や援護を必要としている若者は大勢いるが支援体制は手薄。果敢に挑戦し、負の連鎖を止めたい」と意欲を燃やす。

  いわてパノラマ福祉館の高舘理事長は、障害のある若者の就労訓練や就職先の開拓に長年、関わってきた。「支援を必要としている若者の親も精神などの障害を抱えている比率が相当高い。家庭の基盤がもろいために、意欲的に立ち上がれない。本人の就労支援だけでは限界があり、課題を解決するためには複数の機関の連携が必要」とネットワークの重要性を指摘する。

  アースメイトの吉田代表理事は「支援から漏れている多くの若者に相談場所があることを知ってもらいたい。チームで考えて支援するモデルが全国的にも広がってほしい」と願った。

  チーム!わかくらへの問い合わせは、あすからのくらし相談室・盛岡(電話019―601―7077)へ。


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