盛岡タイムス Web News 2016年  7月 22日 (金)

       

■  県条例改正 待機児童、保育士不足解消へ 国の配置基準緩和特例で 中核市の盛岡は検討中 現場に慎重期す声も


 保育士不足や待機児童の解消につなげるため、国は認可保育所などの保育士の配置基準の特例を認める改正省令を公布し、4月から基準を緩和した。これを受け、県は、児童福祉施設の設備や運営に関する基準を定める条例の一部改正案を県議会6月定例会に提案、7月6日の本会議で可決された。慎重な対応を求める声もあり、中核市の盛岡市は検討を続けている。

  認可保育所や認定こども園は、国が保育する児童の年齢や数に応じて、配置しなければならない職員数や施設の広さなど設置基準を規定。これに基づいて都道府県や政令市、中核市が条例で具体的な基準を定め、認可している。

  今回、可決された県の条例改正案は、国の改正省令に準じる。施行後は、幼稚園教諭や小学校教諭、養護教諭のほか、無資格でも保育士と同等の知識や経験があると認められる人を一定の条件下で保育士の代わりに配置できるようになる。

  例えば、朝夕の児童が少ない時間帯は、配置が必要となる保育士(認定こども園の場合は保育士または幼稚園教諭)二人のうち一人は、無資格でも同等の知識や経験があると認められた人で代替え可能。認可保育所は本来、保育士の配置が定められているが、3分の1を超えない範囲であれば、幼稚園教諭や小学校教諭、養護教諭を保育士とみなす。

  無資格でも保育士や幼稚園教諭の代わりができる人は、市町村が実施する子育て支援員研修の修了者などを想定。有資格者が確保できず、子どもを受け入れたくても、受け入れられずにいた施設にとっては選択肢の幅が広がる。職員の代替えによって現在、勤務している保育士ら専門職の労働時間が短縮され、結果的に処遇の改善にもつながるとしている。

  ただ、ベテラン保育士らからは慎重な対応を求める声も聞かれる。盛岡地域の保育園長の一人は「保育は子どもの生活全般に関わる専門性の高い仕事。特に3歳未満児の保育は、小学校教諭や幼稚園教諭の専門性とは全く違う経験や知識が求められる」と指摘。「安易な配置基準の緩和は、保育士の職業の専門性に対する理解を遅らせることにもなりかねない」と懸念する。

  県は「国の改正省令に準じて特例が認められる環境は整えた。実際に保育に当たる職員の要件や保育所の定員を管理するのは市町村。地域の実情に応じて対応してほしい」とする。

  一方、保育所と幼保連携型認定こども園の認可権を持つ中核市の盛岡市は、国の改正省令の取り扱いを検討中。パブリックコメントは先月までで終了したが、保育所や幼稚園の関係者に対するヒアリングを続けている。「配置基準の特例を認めることについては賛成の声も反対の声もあり、じっくり検討したい」という。

  県によると、県内の保育所などの利用待機児童数は2015年10月1日現在のまとめで、18市町村723人(うち中核市の盛岡市は189人)。過去5年間で最も多い。十分な数の保育士が確保できず、欠員がある保育所は15年7月現在で118カ所(うち同市が20カ所)、欠員は187人(うち同市が32人)だった。

  県全体を見ると、保育を希望する児童の数は、全施設で受け入れられる定員を下回っていて、保育ニーズの地域的な偏りもある。


本ページ掲載内容の無断転載を禁じます
ホームページに関するお問い合わせ、取材に関する情報は
E-Mail:hensyuu@morioka-times.com
盛岡タイムス宛てにお願いします