盛岡タイムス Web News 2016年  12月  10日 (土)

       

■ 〈体感思観〉 編集局 藤澤則子 取材の点がつながる縁


 

 地域の取材で夫婦や親子に話を聞く機会はたびたびあるが、あとで気付いたら「実は親子だった、きょうだいだった」と驚くこともある。

  先日、盛岡市内で書道教室を主宰する瀬川純子さん(61)から、母の佐々木マルヨさん(83)が近くのデイサービスで相撲甚句を披露するということで、その様子を取材させてもらった。

  マルヨさんが所属する南部相撲甚句会(高橋多美雄会長)の会員に加え、マルヨさんの三女で日本相撲甚句会会員の石川弘子さん(56)=茨城県=も飛び入りで参加。デイサービス利用者らを楽しませた。

  病を患い、自宅でリハビリ中というマルヨさんは演奏後、「いつも笑顔でいたい。(享年)43歳で亡くなった二女の分も生きたいから」と話してくれた。

  書道講師で滝沢市剣道協会にも所属していた二女の故・則子さん。縁あって、「ママさん剣士」としてさっそうとした姿を取材させていただき、のちに訃報を聞いた時も、きりっとした着装とおおらかな笑顔が思い出された。

  長女の純子さんとも書道の取材などで20年以上のお付き合い。マルヨさんと弘子さんを取材させていただいたことで、「母娘4人の女性にお世話になった」としみじみ感じていたが、10年前にもう一人の娘≠取材していた。

  母の則子さんが亡くなった時に小学5年生で、現在25歳になるという真梨さん。書道の手ほどきを受けた母亡き後も純子さんの教室で書を続け、滝沢南中を卒業前、地元の郵便局で初めての書道展を開いた。

  15歳に成長していた真梨さんは「支えてくれた人たちに感謝の気持ちを伝えたい」と話し、一生懸命に取り組んだ書を発表。来場した親戚や知人の中には、個展を開いた本人以上に喜び、「ありがとうね」と声を掛ける人もいた。則子さんが残した目に見えない宝物を体現してくれたことへの感謝だったと、今は思う。

  その人の生きた証しは、形あるものだけではなく、人と人とのつながりにも宿ると感じている。


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